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はじめに
冬の食卓に彩りを添える野菜の中で、ひときわ存在感を放つのが「ちぢみほうれん草」です。一般的なほうれん草とは異なる、肉厚でシワの多い葉が特徴のこの野菜は、寒さに耐えるために養分を蓄え、濃厚な甘みを生み出します。宮城県東松島市を発祥とする伝統野菜として知られ、現在では全国でも注目を集めています。
宮城の大地が育んだ伝統野菜
ちぢみほうれん草の発祥は、宮城県東松島市の矢本地区とされています。もともと農家が自家用に栽培していたもので、その味が評判となり、次第に周辺地域へと広がっていきました。現在では石巻地区、登米地区、仙台地区でも栽培され、宮城を代表する伝統野菜として親しまれています。
この野菜には「寒締めほうれん草」という別名もあります。寒さに当てて甘味を出す栽培方法から、こう呼ばれることがあるそうです。葉が縮緬(ちりめん)状にシワがある様子から、「ちぢみ」という名前がついたとされています。
寒さが生む肉厚の葉と濃厚な甘み
ちぢみほうれん草の最大の特徴は、なんといってもその肉厚の葉です。一般的なほうれん草と比べて葉が厚く、シワが多いのが特徴。この独特な形状は、寒さに耐えるために葉が縮んで厚くなる性質によるものです。
寒さに当たることで、植物は凍結を防ぐために糖分を蓄えます。ちぢみほうれん草も例外ではなく、冬の寒さにさらされることで糖分をたっぷりと蓄え、濃い甘みを楽しめる野菜となります。宮城県青果物標準出荷規格では、糖度6以上と定められており、高いもので糖度14以上になることもあるそうです。この甘みは、普通のほうれん草とは一線を画す濃さ。加熱してもその甘みが損なわれにくいのも魅力です。
葉の色は濃い緑色で、大きく広がった見た目が印象的。茎や根も太くなる傾向があり、全体的にずっしりとした重みを感じる野菜です。スーパーで見かけるとつい手に取ってみたくなる存在感があります。
冬の限定野菜としての価値
ちぢみほうれん草は、冬の寒さが最も厳しい時期に最も甘みを増します。シーズンは2月下旬ごろまでとされており、この時期限定という希少性もこの野菜の魅力の一つと言えるでしょう。
以前は宮城県内で主に栽培されていましたが、今では全国区の野菜として知られるようになりました。とはいえ、依然として産地は限定的で、市場に出回る量も一般のほうれん草に比べると少なめ。冬の間に見かけたら、ぜひ手に取ってみたい野菜です。
地域によって栽培方法や品種に若干の違いはあるものの、基本的な特徴は共通しています。寒さに当てて甘みを引き出すという栽培法は、どの産地でも変わらない伝統的な知恵。この野菜を通じて、日本の冬の食文化を感じることができますね。
加熱調理に強い実力派
ちぢみほうれん草は、加熱調理に非常に強い性質を持っています。普通のほうれん草と比べて、料理中の水っぽさが少ないのが特徴。そのため、煮込み料理や炒め物に最適です。
おひたしや和え物といった定番料理はもちろん、鍋料理の具材としても優秀です。肉厚の葉は煮込んでも形が崩れにくく、食感を楽しめます。炒め物にすれば、シャキシャキとした茎の食感と、厚みのある葉のボリューム感が活きます。シチューやグラタンにもおすすめで、どんな味付けや食材とも相性が良い名脇役として活躍してくれます。
サラダとして生食するのも一考ですが、その場合は若葉を選ぶか、軽く茹でてマリネにするのがおすすめ。濃厚な甘みを活かすなら、シンプルな調理法が最もこの野菜の良さを引き出します。凝った料理よりも、素材の味を堪能できる調理法を選びたいですね。
下処理と調理のポイント
ちぢみほうれん草を調理する際、気になるのがアク抜きの必要性です。一般的なほうれん草と同様に、シュウ酸を含むため、茹でてアクを抜くのが基本です。ただし、ちぢみほうれん草は葉が厚いため、茹で時間は普通のほうれん草より少し長めに設定すると良いでしょう。
茹でる際は、沸騰したお湯に根元から入れ、茎が少し柔らかくなってから葉を沈めます。茎の太さにもよりますが、全体でしっかりと火が通るまで茹でれば十分。冷水に取って色止めをし、しっかりと水気を絞れば、鮮やかな緑色が保たれます。
保存する際は、湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。鮮度が命の野菜ですから、購入後はできるだけ早く食べきるのがおすすめ。どうしても余ってしまった場合は、茹でて冷凍保存するのも一つの手です。
まとめ
ちぢみほうれん草は、冬の寒さが育んだ日本の伝統野菜です。宮城県東松島市を発祥とし、肉厚の葉と、糖度6以上という濃厚な甘みが特徴。加熱調理に強く、おひたしや炒め物、鍋料理など幅広く活用できます。見かけたら、ぜひ一度味わってみてほしい冬の味覚です。