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ダルバートとは?ネパールの国民食を徹底解説

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はじめに

ダルバートは、ネパールで最も親しまれている伝統的な定食です。「ダル」と呼ばれる豆のスープと、「バート」というご飯を組み合わせた料理で、ネパールの人々にとっては日本人の「ご飯と味噌汁」のように日常的な存在です。ネパール文化の根幹を成す定食であり、単なる食事以上の意味を持つ料理として親しまれています。
この料理の魅力は、シンプルながらも栄養バランスに優れている点にあります。豆のタンパク質、米の炭水化物、野菜のビタミンやミネラルが一度に摂れるため、体にやさしい食事として愛され続けています。スパイスを効かせつつも、インド料理に比べてマイルドであっさりとした味わいが特徴です。

ネパールの食卓に欠かせない定食の基本

ダルバートは、ネパール料理の基本となる定食です。名前の由来は、ネパール語で「ダル」が豆のスープ、「バート」がご飯を意味することから来ています。最低限この2つがあればダルバートと呼ばれるため、その名がそのまま料理名となっています。
一般的には、ダルとバートに加えて「タルカリ」と呼ばれる野菜のカレー、「サーグ」という青菜の炒め物、「アチャール」という漬物が添えられます。これらが一つの皿に盛り付けられ、彩り豊かな食事として提供されるのです。日本で言えば、ご飯、味噌汁、副菜がセットになった定食に近い感覚でしょうか。
ネパールでは「料理」といえば、このダルバートを指すほど日常に根ざした存在です。家庭料理として親しまれているため、地域や家庭によって使う豆の種類やスパイスの配合、付け合わせの野菜が異なります。それがまた、ダルバートの奥深さを生み出しているのですね。

ネパール文化の根幹を成す食の歴史

ダルバートは、ネパール文化の根幹を成す定食であり、単なる食事以上の意味を持ちます。ネパールの団結とおもてなしの文化的シンボルでもあるのです。豆は、ネパールの人々にとって貴重なタンパク源として重宝されてきました。
ダルバートに使われる豆には、レンズ豆、黒豆、緑豆など様々な種類があります。地域や季節、家庭によって異なる豆が選ばれ、それぞれの風味が楽しめるのが特徴です。こうした多様な豆を日常的に食べる文化は、ネパールならではの特徴と言えるでしょう。
ネパールには「ミックス文化」という興味深い特徴があります。ダルを作る際も、単一の豆ではなく複数の豆を混ぜて炊くのが一般的です。混ぜることで、香りがよくなり、食べやすくもなるのだとか。この文化は米にも及び、バスマティライスとネパールの米をミックスすることもあるそうですよ。

優しい味わいと手で食べる独特のスタイル

ダルバートの最大の特徴は、その食べ方にあります。ネパールでは、サラッとした豆のスープ「ダル」をご飯にかけて、指先で混ぜ込んで食べるのが一般的です。右手の人差し指、中指、親指を使って、ご飯とスープを丁寧に混ぜ合わせ、一口サイズにまとめて口に運びます。
初めての方は驚くかもしれませんが、現地では子供の頃からこの食べ方に慣れ親しんでいるため、誰もが自然に、しかも美しく食事を楽しみます。
味わいの面では、インド料理に比べてスパイスの使用量が控えめで、唐辛子もあまり使わないため、マイルドであっさりとしています。特にダルは豆本来の優しい甘みが際立ち、辛いタルカリとの相性が抜群です。このコントラストこそが、ダルバートの魅力なのかもしれませんね。

日本では「ネパールセット」として親しまれる

ネパール国内ではダルバートという名称が一般的ですが、日本のネパール料理店では「カナセット」「タリセット」「ネパールセット」などと表記されることがあります。これは、「豆のスープとご飯だけ」という誤解を避けたり、庶民的なイメージを払拭したい店側の意図があるためです。
実際には、日本で提供されるダルバートは、ネパール本国のものと大きな違いはありません。ダル、バート、タルカリ、サーグ、アチャールが一つの皿に盛り付けられ、彩り豊かに提供されます。ただし、日本では手で食べる習慣が一般的ではないため、スプーンやフォークが用意されることがほとんどです。
地域による違いと言えば、ネパール国内でも山岳地帯と平野部では使われる米の種類が異なります。バスマティと呼ばれるインディカ米(長粒種米)のほか、中粒米、短粒米など、その土地で栽培される米が使われるのです。豆の種類も同様に、地域ごとの特産品が選ばれます。こうした地域差が、ダルバートのバリエーションを豊かにしているのですね。

豆とスパイスが織りなす風味のハーモニー

ダルバートの材料は、シンプルながらも栄養バランスに優れています。主役のダルには、レンズ豆をはじめ、黒豆、緑豆など様々な豆が使われます。これらの豆は一晩水に漬けてから煮込まれ、ターメリック、塩、クミンシード、ニンニク、唐辛子、生姜などのスパイスで味付けされます。
バートには、バスマティライスなどのインディカ米が使われるのが一般的です。長粒種の米は、サラッとしたダルと混ぜてもべたつかず、程よい食感を楽しめます。日本米とは異なる、パラッとした軽い食感が特徴です。
タルカリには、ジャガイモ、カリフラワー、ニガウリ、サヤインゲンなどの野菜が使われます。これらをスパイスで炒めたカレー風味のおかずで、日替わりで素材が変わることも。サーグには、カラシナやホウレンソウなどの青菜が使われ、シンプルな炒め物として添えられます。アチャールは大根やジャガイモの漬物で、酸味とスパイスの効いたアクセントになります。

伝統的な調理法と家庭の味

ダルバートは、あくまで家庭料理です。そのため、決まったレシピがあるわけではなく、各家庭で異なる味わいが楽しめます。ただし、基本的な調理法は共通しており、特にダルの作り方はどの家庭でも似ています。
まず、豆を一晩水に漬けてふやかします。皮つきの茶色いレンズ豆を使うことが多く、しっかりと水に漬けることで、煮込む時間を短縮できます。翌日、豆を鍋に入れて水を加え、ターメリックと塩を加えて煮込みます。豆が柔らかくなったら、別のフライパンでギー(澄ましバター)またはバターを熱し、クミンシード、みじん切りにした玉ねぎ、ニンニク、唐辛子、生姜を炒めて香りを出します。これを煮込んだ豆に加え、風味を馴染ませれば完成です。
タルカリは、野菜をスパイスで炒めたシンプルな料理です。ジャガイモやニンジン、インゲンなどを一口大にカットし、マサラ(スパイスミックス)で炒めます。家庭によっては、ミックスマサラやガラムマサラなど、調合されたスパイスを使うこともあります。こうしたスパイスの使い方一つで、家庭ごとの個性が際立つのですね。

まとめ

ダルバートは、ネパールを代表する伝統的な定食で、豆のスープ「ダル」とご飯「バート」を中心に、野菜カレー、青菜の炒め物、漬物が添えられた栄養バランスの良い食事です。ネパールでは「料理」といえばこのダルバートを指すほど日常に根ざした存在で、サラッとした豆のスープをご飯にかけて、指先で混ぜ込んで食べる独特のスタイルも特徴的です。スパイスを効かせつつも、インド料理に比べてマイルドであっさりとした味わいが魅力です。レンズ豆や黒豆、緑豆など様々な豆が使われ、地域や家庭によって異なる味わいが楽しめます。
日本では「ネパールセット」や「タリセット」として親しまれ、ネパール料理店で味わうことができます。スパイスの香りと豆の優しい甘みが調和した味わいは、一度食べると忘れられない魅力を持っています。ネパールの文化を感じられる、ぜひ一度味わってみたい料理ですね。

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