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マッククスとは?江原道が生んだ香ばしい韓国そばの魅力

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韓国・江原道の食卓に息づく「マッククス」とは

韓国北東部、江原道(カンウォンド)。なかでも春川(チュンチョン)地方の名物として知られる麺料理が、マッククス(막국수)です。そば粉の香ばしさとさっぱりした味わいを特徴とする郷土料理ですが、その名前には、ある素朴な印象が込められています。

「マック(막)」は「やたらに、適当に、今すぐ」を意味し、「ククス(국수)」は「麺」。つまりマッククスとは、文字どおり「気ままに食べる麺」という意味合いを持つ名前なのです。

日常の食卓に自然と溶け込む、そんなイメージがこの名称にはあります。では、この麺はいつ生まれ、どのようにして江原道を代表する味になったのでしょうか。その歴史は諸説あり、はっきりとした起源は定かではありません。麺ならではの香ばしさとコシの秘密、冷たいスープやタレで味わう食べ方、そして春川の文化とともに歩んだ歴史——順にたどっていきます。

発祥はいつ?諸説あるマッククスの歴史

マッククスの発祥はいつなのか。調べ始めると、まず壁に当たります。資料によって答えが違うのです。

韓国食辞典は、春川マッククスの発祥を1960年代ごろとしています。地方の一定地域で食べられていた料理が、名物郷土料理として次第に名を知られるようになり、その後、韓流ドラマ・映画のロケ地として有名になった春川とワンセットで一躍、国内外に知れ渡るようになった、という説明です。

ところが、韓食ペディアの記述は、もう少し古い時代にさかのぼります。マッククスという名称の記録として確認できるのは1920年代からであり、そばの名産地である平壌(ピョンヤン)での記述が中心だといいます。

この二つの説は、同じ料理を指していながら、見ている場所が違います。1960年代説は「春川マッククス」という名物料理としての成立に注目し、1920年代説は「マッククス」という名前の記録に注目している。つまり、麺料理としてのルーツと、春川の名物として定着した時期を分けて考えれば、両方の説が同時に成り立つのです。

発祥をひとつに絞り込むことは、おそらくできないでしょう。それも無理はありません。地方の片隅で食べられていた料理が、いつ、どのようにして広まったのか。その道筋は、必ずしも一筆書きでは描けないからです。

確かなのは、春川という土地がこの料理の知名度を押し上げたという事実です。韓国食辞典によれば、韓流ドラマ・映画のロケ地として有名になった春川とワンセットで、マッククスは一躍、国内外に知れ渡るようになりました。

諸説あるということは、それだけ多くの人々がこの麺に物語を重ねてきた証でもあります。発祥の年代は資料によって揺れ動きますが、江原道の食卓に根づいた味であることは、どの説にも共通しているのです。

香ばしさとコシの秘密:マッククスの特徴

江原道(カンウォンド)の食卓に並ぶ一杯、マッククス。その主役は、そば粉を多く練り込んだ麺です。冷たいだし汁に沈む麺を箸で持ち上げると、小麦の麺にはない、そば独特の香ばしい匂いが立ってきます。

この香ばしさの正体は、配合にあります。そば粉の割合を高くすることで、麺そのものがそばの風味を強く放つ。噛むほどに鼻へ抜ける香りが、料理の第一印象を決めていると言えるでしょう。

麺づくりの工程も、特徴的です。お湯でこねた生地を型に入れて押し出した麺は、冷たいだし汁に入れて食べるのが一般的です。そば粉の麺は切れやすい一方で、その香ばしさは絶妙とされています。

口に含めば、つるりとした表面の奥から、しなやかな抵抗が返ってくる。噛み切るとき、麺がぷつりと潔く途切れるのではなく、うっすらと粘りながら歯に絡む。その食感の余韻に、そばの香りがもう一度ふわっと立ちのぼる。冷たいだし汁と一緒にすすると、麺の風味が一層はっきりと浮かび上がります。

冷たいスープに、混ぜそばに:マッククスの食べ方

マッククスの食べ方は、大きく二つの流れに分かれます。冷たいだし汁に麺を浮かべる「冷やしそば」と、タレにしっかり絡めて食べる「混ぜそば」。どちらを選ぶかで、同じ麺の印象ががらりと変わるのです。

冷たいだし汁のスタイルは、いわば冷やしそばの形。そば粉を練った生地を型に流し込んで押し出した麺を、冷たい汁に浸してすする。汁は、作り手によって異なります。大根の水キムチの漬け汁を用いる場合もあれば、牛肉を煮出してとっただしを用いる場合もある。この選択が、一杯ごとの輪郭を決めているのです。

一方の混ぜそばは、麺を汁に浸さず、タレと和える。そば粉の香りが、より直接的に伝わってくる食べ方です。冷たいスープの清涼感を楽しむか、麺の風味をじっくり味わうか。好みが分かれるところです。

暑い季節にうれしい一品として親しまれるのは、冷たい汁とそば粉の香りが組み合わさるからでしょう。だしの選び方ひとつで味わいが変わるのも、マッククスの楽しみ方の幅を広げているのですね。一杯のなかで冷やしそばと混ぜそばのどちらを選ぶか。それだけで、マッククスの印象は別物になるのです。

一杯のそばに込められた江原道の風土

江原道の山あいを抜けると、春川の街に小さな食堂の灯りが並ぶ。そこで出される一杯のそばには、土地の空気がそのまま閉じ込められているかのようです。

この麺の名前は、肩肘張らずに「今すぐ、適当に」食べてほしいという呼びかけのようにも聞こえます。堅苦しい作法も、特別な日のためのごちそうという意識もない。日常の合間にふと口にする、暮らしに寄り添った食べ物なのです。

春川の名物郷土料理として知られるようになり、いまや祭りが開かれるほどになった。その歴史は意外に新しいとする説もあれば、名称の記録を1920年代までさかのぼれるとする説もあり、発祥時期については諸説ある。それでも、その根っこは変わりません。観光客でにぎわう食卓の向こうに、この土地で培われてきた食の知恵と、そばをすする人々の日常が重なって見えてきます。

一杯の麺に、江原道の風土が宿っている。そう気づいたとき、マッククスは土地の物語を運んでくる一杯になるでしょう。

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