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ニハリとは?インド・パキスタンの伝統煮込み料理の魅力と歴史を解説

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はじめに

「ニハリ」という料理をご存知でしょうか? インド亜大陸、特にパキスタンや北インドで深く愛されている、伝統的な煮込み料理です。じっくりと時間をかけて煮込まれた肉の旨味と、芳醇なスパイスの香りが特徴で、一度食べると忘れられない奥深い味わいがあります。この記事では、ニハリの魅力に迫るべく、その定義から起源、歴史、特徴、そして食べ方までを詳しく解説していきます。

料理の定義と概要

ニハリは、主に牛や羊、山羊などのすね肉を、骨髄とともに長時間かけて煮込んだ料理です。名前の「ニハリ」は、アラビア語の「ナハール(Nahar)」、つまり「朝」に由来すると言われています。その名の通り、伝統的には一晩かけて調理され、日の出とともに朝食として食べられてきました。濃厚でスパイシーな味わいが特徴で、インド料理やパキスタン料理を代表する一品として知られています。

起源と歴史

ニハリの起源については諸説ありますが、多くの文献によると、ムガル帝国末期の18世紀末、現在のインドのハイデラバードやオールドデリー、あるいはラクナウにあたるアワディの王宮の厨房で生まれたと考えられています。当初は王侯貴族の料理でしたが、次第に庶民の間にも広まっていきました。

特に、インド亜大陸のイスラム教徒の食文化とともに発展し、デリー、ボーパール、ラクナウといった都市で伝統料理として根付きました。1947年のインド・パキスタン分離独立の際、多くのイスラム教徒がパキスタンへ移住し、カラチなどでレストランを開業したことで、ニハリはパキスタン全土へと広がり、現在では国民食の一つとみなされるほど人気を博しています。バングラデシュの一部地域、特にダッカやチッタゴンでも古くから親しまれているご馳走です。

主要な特徴

ニハリの最も際立った特徴は、その濃厚な味わいとスパイシーさです。

地域による違いや派生料理

広大なインド亜大陸で食されているニハリには、地域によるバリエーションが存在します。

また、ニハリとしばしば比較される料理に「カラヒ」がありますが、カラヒは中華鍋のような形の「カラヒ鍋」で肉や野菜を炒め煮にする料理で、調理法や味わいが異なります。ニハリはより長時間煮込む料理であり、骨髄のコクが特徴的です。

興味深い習慣として、一部の老舗レストランでは「Taar(タール)」と呼ばれる、前日のニハリの残りを翌日の新しい鍋に加える「継ぎ足し」が行われています。これにより、独特の深みと風味が生まれ、中には100年以上も継ぎ足しを続けている店もあると言われています。

一般的な材料と特徴

ニハリの基本的な材料は以下の通りです。

仕上げに、刻んだショウガ、青唐辛子、パクチー、そしてたっぷりのレモン汁を添えて食べるのが一般的です。レモンの酸味が濃厚なスープを引き締め、爽やかな風味を加えます。

本来の伝統的な調理法

伝統的なニハリの調理法は、時間と手間をかけたものです。

  1. まず、鍋で油を熱し、玉ねぎを炒めます。
  2. 肉と骨髄、ショウガ、ニンニク、そして各種スパイスを加えてさらに炒め、香りを引き出します。
  3. たっぷりの水を加え、蓋をして弱火で長時間(最低でも数時間、伝統的には一晩)煮込みます。肉が骨から簡単に外れるくらい柔らかくなるのが目安です。
  4. 途中、アクを取り除きながら煮進めます。
  5. 最後に、水で溶いた小麦粉やアタを加えてとろみをつけ、塩で味を調えます。

食べる際には、熱々のニハリを器に盛り、千切りのショウガ、青唐辛子の輪切り、刻んだパクチーを散らし、レモンを絞っていただきます。ナンやロティ、クルチャといったパンと一緒に食べるのが一般的です。

まとめ

ニハリは、インド亜大陸の豊かな食文化を象徴する、歴史ある煮込み料理です。じっくりと時間をかけて引き出された肉と骨髄の旨味、そして複雑に絡み合うスパイスの香りは、まさに至福の味わい。その起源はムガル帝国の宮廷にまで遡り、パキスタンでは国民食として愛されるなど、多くの人々の生活に深く根付いています。スパイシーで濃厚ながらも、レモンを絞ることで爽やかさも感じられる奥深いニハリの世界を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

さいごに

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鴨肉のニハリ/エリックサウス 稲田俊輔

伝統的な牛や羊のすね肉ではなく、家庭でも短時間で仕上げられる、鴨のもも肉を使ったニハリです。本来鴨は使いませんが「もしインド人が鴨を食べていたら」と仮定し、ニハリの定義を抑えながら稲田シェフが創作したオリジナルレシピ。
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