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シャラティエッリとは?アマルフィ海岸の手打ちパスタの魅力を徹底解説

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はじめに

こんにちは。シェフレピの池田です。今回は、手打ちパスタ「シャラティエッリ」についてお話していきたいと思います。この南イタリア生まれの手打ちパスタは、その独特な形状と食感で、一度食べたら忘れられない魅力を持っています。

アマルフィ海岸が育んだ個性派パスタ

シャラティエッリは、イタリア・カンパニア州のアマルフィ海岸で愛される手打ちパスタです。その名前の由来については諸説ありますが、地元の方言に関連があるとも言われています。不揃いで少しくしゃっとした見た目は、まるで海風に吹かれたような自然な風合いを感じさせます。

このパスタの最大の特徴は、その独特な形状にあります。幅は約5〜8ミリ、長さは10〜15センチ程度と、一般的なロングパスタよりも短めです。断面は長方形で、表面にはわずかな凹凸があり、ソースがよく絡みます。手打ちならではの不均一さが、かえって魅力となっているんです。

地中海の恵みと共に歩んだ歴史

シャラティエッリは、アマルフィ海岸の比較的新しい郷土料理として知られています。20世紀後半に、観光地として発展し始めたアマルフィ海岸で、地元の新鮮な魚介類を活かせる新しいパスタとして考案されたと言われています。

興味深いのは、このパスタが生まれた背景には、アマルフィ海岸の豊かな食文化があったということ。古くから海洋都市として栄えたこの地域では、地中海の恵みを活かした料理が発達していました。シャラティエッリは、まさにその伝統と革新が融合した産物と言えるでしょう。

もちもち食感が織りなす至福の味わい

シャラティエッリの魅力は、何と言ってもその食感にあります。一般的にはセモリナ粉を主体とした生地で作られ、レシピによっては卵を加えることもあります。また、バジルやパセリなどの香草を練り込むこともあり、それぞれの作り手によって微妙に異なる味わいが楽しめるんです。

この独特の食感は、噛むたびに小麦の香りが広がり、ソースとの一体感を生み出します。特に魚介類のソースとの相性は抜群で、アサリやムール貝、エビなどの旨味をしっかりと受け止めてくれます。まるで海の幸とパスタが一つになったような…そんな感覚を味わえるんです。

各地で花開く多彩なバリエーション

アマルフィ海岸で生まれたシャラティエッリですが、今ではカンパニア州全体、さらには南イタリアの各地で愛されています。地域によって、使われるソースや調理法にも違いがあります。

アマルフィやポジターノでは、やはり新鮮な魚介類を使ったソースが定番。トマトベースのペスカトーレ風や、白ワインとニンニクで仕上げるビアンコ風が人気です。一方、内陸部では野菜やキノコを使ったソースと合わせることも。ナポリでは、伝統的なラグーソースと組み合わせる店もあるようです。

最近では、イタリア国外でも注目を集めており、各国のイタリアンレストランでオリジナルのアレンジを加えたシャラティエッリ料理を見かけることも増えてきました。

素材が奏でるハーモニーの秘密

シャラティエッリの基本的な材料は、セモリナ粉を中心とした小麦粉です。作り手によっては、卵を加えてよりリッチな味わいにしたり、牛乳を使用することもあります。地域や家庭によってレシピは様々で、それぞれに個性があるのも魅力の一つですね。

多くのレシピでは、生地にバジルやパセリなどの香草を練り込みます。これがまた絶妙なアクセントになっているんです。ほんのりと香る香草の風味が、シーフードの臭みを和らげ、全体の味を引き締めてくれます。

ソースとの組み合わせでは、やはり魚介類が王道ですが、実は野菜との相性も抜群。ズッキーニやナス、トマトなどの夏野菜と合わせると、南イタリアの太陽を感じる一皿に。秋にはポルチーニ茸と合わせても美味しいですよ。

手仕事が生み出す温もりある製法

シャラティエッリの製法は、一見シンプルですが、実は職人の技が必要です。まず、セモリナ粉を中心とした材料を混ぜ合わせ、必要に応じて卵や液体を加えます。香草を使う場合は、刻んで生地に練り込みます。生地をよくこねたら、30分ほど休ませます。

ここからが腕の見せ所。生地を薄く伸ばし、幅5〜8ミリ程度に切り分けていきます。このとき、あえて不均一に切ることで、手打ちならではの風合いが生まれます。切った麺は、軽くねじったり、少しくしゃっとさせたりして、独特の形状に仕上げます。

茹で時間は生地の配合によって異なりますが、一般的には8〜10分程度。アルデンテに仕上げるには、芯が少し残る程度で引き上げるのがコツ。茹で上がったら、すぐにソースと絡めて完成です。

まとめ

シャラティエッリは、南イタリアの太陽と海が育んだ、まさに地中海の恵みを体現したパスタです。その独特のもちもち食感と、魚介類との絶妙な相性は、一度味わったら忘れられない美味しさ。

アマルフィ海岸で愛されるこの手打ちパスタは、今や世界中のイタリア料理愛好家を魅了しています。日本でも少しずつ知名度が上がってきており、本格的なイタリアンレストランでは、シェフ自慢のシャラティエッリ料理を楽しめるようになってきました。

もし機会があれば、ぜひ一度このユニークなパスタを味わってみてください。きっと、南イタリアの風を感じながら、新たなパスタの魅力に出会えるはずです。

 

さいごに

シェフレピでは、京都の南イタリア料理店、Cantina Arcoの清水美絵シェフによる「ハタと海の幸のシャラティエッリ」のレッスンを公開しております!
アマルフィ海岸のソレントで、実際に清水シェフが働いていたお店の看板メニューだったというこの料理。バジルやレモンを練り込んだ爽やかなシャラティエッリの作り方はもちろん、アクアパッツァの作り方も学べるレッスンとなっております。ぜひこの機会にチェックしてみてください!

ハタと海の幸のシャラティエッリ/Cantina Arco 清水美絵

毎年南イタリアに渡っては、地元のマンマ(お母さん)に家庭料理を学びに行くなど、現地のレシピをそのまま再現することを目指す清水美絵シェフは、南イタリアで実際に学んできたショートパスタ「シャラティエッリ」の作り方を教えてくれます。
さらにハタと貝類の蒸し煮をパスタソースにする「ピアット・ウニコ」スタイルの豪快な食べ方も提案。この魚の蒸し煮は、パスタを入れなければイタリアの漁師料理「アクアパッツア」にもなる、汎用性の高いレシピです。ぜひ本場イタリアのレシピを学んでみてください。

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