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見た目はじゃがいも、中身はパン?
手のひらに乗る茶色い塊。土の香りがしそうなほどリアルな表皮、ところどころにある芽のような窪み。まさに収穫したてのじゃがいもそのものに見えます。ところが、ひとたび指先で触れると、その正体に気づくのです。
柔らかい。これはパンなのです。
韓国語で「カムジャ」はじゃがいも、「パン」はそのままパンを指します。つまりカムジャパンとは、直訳すれば「じゃがいもパン」。韓国の江原道・春川にあるベーカリーカフェ「Gamza Batt(カムジャバッ)」が開発したこのパンは、見た目のリアルさとじゃがいも本来の風味を生かした味わいで、観光客の間から口コミが広まり、韓国全土へと人気が拡大しました。SNSを中心に日本でも話題になっているこの料理の魅力に、これから迫っていきましょう。
じゃがいも畑から生まれた奇跡
韓国の東部、江原道春川(チュンチョン)。山間の風景が広がるこの地で、あるベーカリーカフェが生み出したパンが、今や多くの人を魅了しています。「Gamza Batt(カムジャバッ)」——直訳すると「じゃがいも畑」という名のこの店で、カムジャパンは誕生しました。
店のオーナーは、ジャガイモ農家の夫婦です。彼らがこのパンを開発したきっかけは、単なる商業的な思惑ではありませんでした。「父が守ってきたジャガイモを守りたい」。そんな生産者としての強い想いが、開発の原点にあったのです。
ジャガイモのように見えて、実はパン。このビジュアルのインパクトもさることながら、その背景にある農家の物語を知ると、一口味わうたびに生産者の想いが伝わってくる気がします。見た目のユニークさだけでは語れない、作り手の真心が詰まった逸品なのです。
もちホク!新食感の秘密
手に取った瞬間、きな粉と黒ごま粉のまぶされた茶色い表皮が、まるで土付きのじゃがいものように見える。一口かじると、米粉とタピオカでん粉の生地が「もちっ」とした弾力で応え、その奥からじゃがいもを丸ごとつぶしたフィリングが「ホクっ」と崩れていく。この二層の食感の交錯こそが、カムジャパン最大の特徴と言えるでしょう。
外見のリアルさは偶然の産物ではありません。江原道産のじゃがいも澱粉を生地に練り込み、表面にはきな粉と黒ごま粉(あるいはブラックペッパー)をまぶすことで、本物のじゃがいもの質感と色合いを驚くほど忠実に再現しています。中に詰まったマッシュポテトが、見た目とのギャップをさらに深める。お店によってはチーズを中に加えたバリエーションも展開されており、この「もちホク」という新食感を中心に、韓国のパンブームは今も進化を続けているようです。
韓国で爆発的なブームの理由
SNSのタイムラインをスクロールしていると、不思議な光景に出会うことがあります。じゃがいもがそのまま並んでいるかのような写真、でもよく見るとそれはパンなのです。この視覚的なインパクトこそが、カムジャパンが社会的現象を巻き起こした大きな要因の一つと言えるでしょう。
「もちホク」という、それまでのパンにはなかった新食感も見逃せません。外側のモチモチとした弾力と、内側のホクホクとした舌触りが生み出すコントラストは、多くの人々の好奇心を刺激しました。
SNS上でシェアされる際、そのユニークな見た目が会話のきっかけとなり、実際に食べてみた人がその食感の新しさを報告する。この循環がブームを加速させ、韓国発の進化系パンとして確固たる地位を築き上げたのです。
日本で食べられるお店は?
韓国で生まれたこのユニークなパンは、日本でも少しずつ認知され始めています。実際に取り扱う店舗が現れているものの、まだ数は限られており、気軽に出会える段階ではありません。SNSで話題になっていても、近所のベーカリーで見かけないという方も多いのではないでしょうか。米粉とタピオカでん粉で作られるモチモチの食感と、ジャガイモを模したユニークな見た目。この魅力を日本で体験できる場所が、これから徐々に増えていくことを期待したいですね。
小さなパンに詰まった大きな想い
手のひらに乗るほど小さなこのパン。その愛らしい見た目の裏には、あるジャガイモ農家の夫婦が抱き続けてきた熱い想いが息づいています。「父が守ってきたジャガイモを守りたい」という切実な願いが、カムジャパンという形になったのです。
SNSで映えるビジュアルとして消費されがちなこのパンですが、その本質は生産者が土地と作物に注ぐ愛情そのもの。一口かじれば、ただのトレンドスイーツではない深みが感じられるはずです。このパンをきっかけに、韓国の食文化への興味が少しでも深まれば幸いです。























