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竜田揚げとは?唐揚げとの違いと紅葉に由来する名前の秘密

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紅葉の名所が生んだ、日本の揚げ物

秋も深まると、奈良の竜田川は岸の紅葉が水面を染め、川そのものが鮮やかな錦に変わる。その風景にちなんだとされるのが、竜田揚げという名前です。ただし、名前の由来については、旧日本海軍の軽巡洋艦「龍田」にちなむという説もあり、諸説あるのが実情です。

日本惣菜協会の定義によれば、唐揚げの一種でありながら、醤油やみりんで下味をつけ、片栗粉や葛粉で揚げるのが特徴。

一口に唐揚げと言っても、その違いはどこにあるのか。そして「竜田」の名は、本当に紅葉だけが由来なのか。この記事では、調理法の定義から名前の謎、さらには魚や鯨へと広がる食材の世界までを辿っていきます。

唐揚げと何が違う?調理法で見る定義

唐揚げと竜田揚げ。どちらも鶏肉を揚げた料理で、食卓に並ぶと、見た目はほとんど同じです。ところが、調理工程をたどっていくと、両者の違いはくっきりと浮かび上がってきます。

日本惣菜協会は、竜田揚げを唐揚げの一種と位置づけています。その説明によると、醤油やみりんなどの調味料で下味を付け、片栗粉や葛粉をまとわせてから揚げるのが竜田揚げです。代表的な食材は鶏肉と魚介類。唐揚げという大きな枠の中に、竜田揚げは収まるのです。

一方、京都調理師専門学校の解説では、唐揚げには本来、みりんや醤油といった味付けがないとされています。食材に粉をまぶし、そのまま油へ。つまり、下味をつけるかどうかが、両者を分ける最初の分岐点になります。

粉にも特徴があります。竜田揚げは片栗粉や葛粉を用いるのが一般的です。この粉の選び方が、仕上がりの食感に大きく関わってきます。

ここまでを整理すると、竜田揚げは「下味を付けてから粉をまとわせて揚げる」、唐揚げは「味付けをせずに粉をまぶして揚げる」と、すっきりと区別できます。どちらも揚げ物という点では同じでも、調味料を染み込ませるかどうかで、味わいの方向性が変わってくるのです。メニュー名を見たとき、その調理法まで思い浮かぶようになると、料理の見方も少し変わるはずです。

「竜田」の名はどこから?紅葉と軍艦の説

秋が深まると、奈良県を流れる竜田川は、水面まで紅葉の色に包まれる風景で知られます。散り敷いたもみじが川面を覆い、水が紅色に染まる。そんな古来の風物詩が、食卓の揚げ物と結びついています。

竜田揚げの名の由来として広く語られるのが、この川の情景です。ウェザーニュースの解説では、百人一首にも収められた在原業平の歌「千早ぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」に因むと紹介されています。揚げ上がった料理の色合いを、紅葉が流れる川面に見立てた、というわけです。日本惣菜協会も、出来上がりを竜田川の川面に映る紅葉に見立てて命名されたと説明しています。

もう一つ、異なる由来として挙げられるのが、旧日本海軍の軽巡洋艦「龍田」に因むという説です。日本経済新聞の記事によれば、この艦は主に第二次世界大戦で支援や輸送に活躍しました。ある時、艦内の司厨長が唐揚げを作ろうとしたところ、小麦粉がなかったのだとか。その後の話は資料によってさまざまで、正確な経緯は今もはっきりしません。ただし、この説については、海軍料理研究家が船上での揚げ物の危険性を指摘して否定的な見解を示すなど、信頼性に疑問を呈する声もあります。

古歌の風雅と戦時中の艦内。まるで対照的な二つの物語が、同じ料理名に同居しています。紅葉説が多くの資料で主要な由来として紹介されている一方、軍艦説は二次的な説として扱われているのが現状です。名前ひとつにこれだけの物語が重なる様子は、料理の奥行きを感じさせてくれます。

鶏だけじゃない。魚や鯨にも広がる世界

戦後の学校給食の時間、教室に香ばしい匂いが立ちこめると、子どもたちの視線は自然とトレーに集まりました。そこに並んでいたのは、くじらの竜田揚げです。

山口県の郷土料理として伝わるこの一品は、戦後の学校給食で広く利用され、「給食界のチャンピオン」と呼ばれるまでの人気を誇りました。一方で、竜田揚げの普及については、昭和30年代後半のテレビ料理番組を通じて家庭に浸透したとする説もあり、その広がり方は一様ではないようです。

竜田揚げというと鶏肉を思い浮かべる方が多いでしょうが、実際にはサバやクジラの肉で作ることもあるのです。

作り方はどれも同じ。しょうゆやみりんで下味をつけ、片栗粉をまぶして油で揚げる。下味が素材の持ち味を引き出し、片栗粉の衣は揚がったときにサクサクとした口当たりを生み出す。肉にも魚にも、そしてくじらにも、この工程がきれいにはまるのが竜田揚げの特徴です。

食卓に届くまでに詰まった物語

竜田揚げの名前を聞いて、まず何を思い浮かべるだろう。紅葉か、それとも揚げ物の香ばしさか。その由来をたどると、竜田川に因むと言われるものの、確証はない。発祥もはっきりしていない。

それでもこの料理は、日本の食卓に静かに根づいてきた。唐揚げとの違いを説明しようとすると、かえって輪郭がぼやける。それほど身近な存在なのです。

マクドナルドの「チキンタツタ」のように、サンドイッチの具として現代的な形で親しまれることもあります。名前の由来がいくつも語られるのは、それだけ多くの人がこの料理を愛してきた証でしょう。

次に竜田揚げを食べるとき、その一片に込められた長い物語を思い浮かべてみるのも一興です。

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