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上海風焼きそばとは?中華の技が光る極上の味わいを徹底解説

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はじめに

上海風焼きそばは、中国・上海の食文化から生まれた、日本でも愛される中華料理です。太めの麺に濃厚な醤油ベースのタレが絡み、野菜や肉の旨味が一体となった一皿は、中華料理の奥深さを感じさせてくれます。日本の焼きそばとは一線を画す、本格的な中華の味わいが特徴的ですね。

上海風焼きそばとは?本格中華の麺料理を知る

上海風焼きそばは、中国語で「上海炒麺(シャンハイチャオミエン)」と呼ばれる料理です。太めの中華麺を使用し、醤油ベースの濃厚なタレで炒めた料理で、日本の焼きそばとは異なる独特の風味を持っています。

この料理の最大の特徴は、なんといってもその”もちもち”とした食感でしょう。生麺を一度茹でてから炒めることで、独特の弾力が生まれます。また、老抽(ラオチョウ)と呼ばれる中国の濃口醤油を使用することで、深みのある色合いと風味が加わります。

具材には豚肉、エビ、青梗菜、もやしなどが使われることが多く、これらの食材から出る旨味が麺に染み込んでいきます。強火で一気に炒めることで生まれる香ばしさが、この料理の命とも言えるでしょう。

上海から世界へ:焼きそばの歴史的変遷

上海風焼きそばの起源は、20世紀初頭の上海にさかのぼると言われています。当時の上海は国際都市として栄えており、様々な食文化が融合する場所でした。その中で、地元の麺料理と西洋の調理技術が出会い、独自の炒麺文化が発展したと考えられています。

特に1920年代から1930年代にかけて、上海の街角には多くの麺料理店が立ち並び、それぞれが独自の味を競い合っていました。この競争の中で、より美味しく、より特徴的な炒麺を作ろうという努力が重ねられ、現在の上海風焼きそばの原型が確立されていったのです。

日本では戦後から徐々に紹介され始め、中華料理店のメニューとして定着していきました。当初は「上海焼きそば」という名前で親しまれ、少しずつ日本人の味覚に合わせたアレンジも加えられるようになりました。

濃厚な味わいの秘密:上海風焼きそばの特徴

上海風焼きそばの最大の魅力は、その濃厚でコクのある味わいにあります。これは単に醤油を多く使っているからではありません。実は、複数の調味料を絶妙なバランスで組み合わせることで、この深い味わいが生まれているのです。

まず、ベースとなる醤油は先ほども触れた老抽(濃口醤油)と生抽(薄口醤油)を使い分けます。老抽は色付けと甘みを、生抽は塩味と旨味を担当します。これに紹興酒、砂糖、そして隠し味としてオイスターソースを加えることで、複雑な味わいが完成します。

また、麺の太さも重要なポイントです。一般的に直径2〜3ミリの太麺を使用し、これが濃厚なタレをしっかりと受け止めてくれます。細麺では味が絡みすぎてしまい、太すぎると火の通りが悪くなる。この絶妙なバランスが、上海風焼きそばの美味しさを支えているんですね。

地域で異なる上海風焼きそばの顔

興味深いことに、上海風焼きそばは地域によって様々なバリエーションが存在します。本場の上海では、比較的シンプルな具材で勝負する店が多いのに対し、広東省では海鮮をふんだんに使った豪華版が人気です。

日本国内でも、地域によって特色があります。横浜中華街では本場に近い味付けが主流ですが、関西では少し甘めの味付けが好まれる傾向があります。

最近では、創作系の上海風焼きそばも登場しています。トリュフオイルを使った高級版や、チーズを加えた洋風アレンジ、あんかけスタイルなど、伝統を守りながらも新しい挑戦を続ける料理人たちの姿勢には、本当に感心させられます。

本格派の材料選び:上海風焼きそばの基本

上海風焼きそばを作る上で、材料選びは非常に重要です。まず麺ですが、できれば中華麺用の生麺がおすすめです。スーパーで売られている焼きそば用の麺でも代用できますが、やはり本格的な中華麺の方が、あの独特の食感を再現できます。

基本的な材料は以下の通りです:

  • 中華生麺(太麺):1人前約150g
  • 豚バラ肉:50g(細切り)
  • むきエビ:4〜5尾
  • 青梗菜:1株
  • もやし:100g
  • 長ねぎ:1/2本
  • にんにく:1片(みじん切り)

調味料については、老抽、生抽、紹興酒、砂糖、オイスターソースが基本となります。これらは中華食材店で手に入りますが、最近では大型スーパーでも取り扱いが増えてきました。特に老抽は、上海風焼きそばの”あの色”を出すのに欠かせません。

プロが教える本格的な調理法

上海風焼きそばの調理で最も重要なのは、火加減と手際の良さです。中華料理の基本である「強火で短時間」という原則を守ることで、食材の旨味を逃さず、香ばしい仕上がりになります。

まず、麺は固めに茹でることがポイントです。袋の表示時間より1分ほど短めに茹で、すぐに冷水で締めます。これにより、炒める際に麺がべたつかず、程よい弾力を保てます。

次に、中華鍋を煙が出るくらいまで熱し、油を回し入れます。ここで”ジュワッ”という音がしなければ、まだ温度が足りません。にんにくを炒めて香りを出したら、豚肉、エビの順に炒めていきます。肉の色が変わったら、すかさず野菜を投入。青梗菜の茎の部分から先に入れ、葉の部分は最後に加えるのがコツですね。

具材に火が通ったら、いよいよ麺の登場です。麺を加えたら、すぐに調味料を回しかけます。ここでもたもたしていると、麺が鍋にくっついてしまうので要注意。鍋を振りながら、麺と具材、調味料を手早く混ぜ合わせていきます。全体に味が馴染んだら、最後に長ねぎを散らして完成です。

まとめ

上海風焼きそばは、単なる炒め麺料理ではなく、中国の食文化と日本の食卓を結ぶ架け橋のような存在です。濃厚な醤油ダレと太麺の組み合わせ、そして強火で一気に炒め上げる調理法は、まさに中華料理の醍醐味を凝縮した一品と言えるでしょう。

本場の味を知ることで、より深くこの料理を楽しめるようになります。ぜひ一度、本格的な上海風焼きそばに挑戦してみてください。

さいごに

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ぜひこの機会にチェックしてみてください!

鶏と雪菜の上海風あんかけ焼きそば/AUBE 東浩司

中国料理店で注文したくなる「あんかけ焼きそば」が家で作れたらうれしいですよね。鶏と野菜の炒め煮を作ってから水溶き片栗粉で餡を作り、麺にかけるだけ。作り方はとてもシンプルですが、麺をしっかり炒めたり野菜を食べやすいように切りそろえたりすることでお店の味になります。中国料理の調味料使いも学べます。

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