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はじめに
こんにちは。シェフレピの池田です。今回は、「ワカモレ」についてお話ししていきたいと思います。ワカモレという名前を聞いて、すぐにメキシコ料理のアボカドディップを思い浮かべる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?日本ではまだあまり知られていませんが、実はメキシコでは味噌汁のように日常的に親しまれている国民的なソースなんです。クリーミーなアボカドに、ピリッとした唐辛子、爽やかなライムの香り、そしてパクチーの独特な風味が絶妙に調和したこの料理は、一度味わえば虜になること間違いなしです。
アボカドが主役!メキシコの国民的ソース「ワカモレ」
ワカモレ(guacamole)とは、スペイン語で「アボカドのソース」を意味する言葉です。すりつぶしたアボカドをベースに、唐辛子、トマト、玉ねぎ、レモンやライム、そしてパクチーなどを加えて作られる、メキシコ料理の代表的なサルサの一つですね。
メキシコの家庭では、まさに日本の味噌汁のような存在として親しまれています。トルティーヤチップスにつけて食べるのが定番ですが、タコスやブリトーの具材として、また肉料理の付け合わせとしても幅広く活用されているんです。
アボカドディップとも呼ばれるこの料理、実は地域によって作り方や材料が微妙に異なります。基本的な材料は共通していますが、家庭ごとに受け継がれるレシピがあり、それぞれの家の”おふくろの味”として愛されているのです。
アステカ時代から続く、ワカモレの長い歴史
ワカモレの歴史は驚くほど古く、なんとアステカ時代にまで遡ります。当時はアボカド、トマト、唐辛子、塩というシンプルな材料で作られていました。これらはすべて、メソアメリカ原産の食材だったんですね。
16世紀にスペインによる植民地化が始まると、ヨーロッパから新たな食材が持ち込まれました。玉ねぎ、ニンニク、レモン、ライム、そしてコリアンダー(パクチー)などが加わり、現在私たちが知るワカモレの形に進化していったのです。まさに、文化の融合が生み出した料理と言えるでしょう。
アメリカでは1833年からアボカドの栽培が始まりましたが、広く受け入れられるようになったのは意外と最近のこと。1990年代にNFLの選手や報道関係者に無料でワカモレが提供されたことがきっかけで、特にスーパーボウルの観戦では定番の食べ物として定着しました。今では5月5日のシンコ・デ・マヨでも欠かせない料理となっています。
日本では2000年頃からアボカドの栄養価が注目され始め、2007年から2016年の間に輸入量が3倍に増加。2019年時点で、日本に輸入されるアボカドの実に9割がメキシコ産というから驚きです。
石臼で作る本格派から手軽な作り方まで
メキシコの伝統的な製法では、「モルカヘテ」と呼ばれる石臼と、「テホロテ」という短いすりこぎのような石を使ってアボカドをすりつぶします。この方法で作ると、アボカドの繊維が適度に残り、独特の食感が生まれるんです。
でも、現代ではボウルとフォークで材料を潰す方法も一般的になっています。家庭で作る場合は、この方法で十分美味しいワカモレが作れます。大切なのは、アボカドを潰しすぎないこと。少し粒が残るくらいが、食感のアクセントになって美味しいんです。
作り方のポイントは、材料を加える順番にもあります。まずアボカドを潰し、そこにライムやレモンの果汁を加えて変色を防ぎます。その後、細かく刻んだ玉ねぎ、トマト、唐辛子、パクチーを混ぜ合わせていく…この順番が、味のバランスを整える秘訣なんですね。
世界各地で愛される、多彩なワカモレのバリエーション
ワカモレは今や世界中で愛される料理となり、各地で独自のアレンジが生まれています。アメリカではベーコンやチーズを加えたボリューミーなバージョンが人気ですし、日本では醤油や柚子胡椒を隠し味に使うレシピも見かけます。
メキシコ国内でも地域差があり、沿岸部では新鮮な魚介類を加えたり、内陸部では唐辛子の種類を変えて辛さを調整したりと、それぞれの土地の特色が反映されています。まるで日本の味噌汁が地域によって味噌の種類や具材が変わるのと同じですね。
基本の材料と、それぞれが生み出す味わいの特徴
ワカモレの基本材料は実にシンプル。完熟したアボカド、唐辛子(ハラペーニョやセラーノ)、トマト、玉ねぎ、レモンまたはライム、そしてパクチーです。
アボカドは、クリーミーでまろやかな味わいのベースを作ります。完熟したものを使うのがポイントで、軽く押して少し柔らかいくらいがベスト。唐辛子は辛味とともに独特の風味を加え、トマトは酸味と甘みのバランスを整えます。玉ねぎのシャキシャキとした食感と辛味、レモンやライムの爽やかな酸味、そしてパクチーの独特な香り…これらが混ざり合って、複雑で奥深い味わいを生み出すんです。
材料の配分は好みで調整できますが、アボカド2個に対して、トマト1個、玉ねぎ1/4個、ライム1個分の果汁、唐辛子1本、パクチー適量というのが基本的な比率です。塩で味を整えれば、本格的なワカモレの完成です。
トルティーヤチップスだけじゃない!ワカモレの楽しみ方
ワカモレといえばトルティーヤチップスにつけて食べるイメージが強いですが、実は活用方法は無限大です。タコスやブリトーの具材として使うのはもちろん、ハンバーガーのトッピングとしても絶品。サンドイッチに塗れば、いつものランチが一気にメキシカンな雰囲気に早変わりします。
グリルした肉や魚の付け合わせとしても優秀で、特に鶏肉との相性は抜群。サラダのドレッシング代わりに使えば、ヘルシーで満足感のある一品になります。野菜スティックのディップとしても人気で、セロリやニンジン、パプリカなどと合わせると、パーティーの前菜として喜ばれること間違いなし。
意外なところでは、パスタソースとしても使えるんです。茹でたパスタにワカモレを和えて、仕上げにチーズを振りかければ、クリーミーなアボカドパスタの完成。
まとめ
ワカモレは、アステカ時代から続く長い歴史を持ちながら、現代でも世界中で愛され続けているメキシコの国民的ソースです。シンプルな材料で作れるのに、その味わいは複雑で奥深く、様々な料理と相性抜群。
日本ではまだあまり知られていませんが、アボカドの栄養価の高さと相まって、これからますます人気が高まることでしょう。伝統的な石臼を使った本格的な作り方から、フォークで簡単に作る方法まで、自分のスタイルに合わせて楽しめるのも魅力の一つ。
トルティーヤチップスにつけるだけでなく、タコスやサンドイッチ、サラダなど、様々な料理に活用できるワカモレ。ぜひ一度、自宅で作ってみてはいかがでしょうか。きっと、その美味しさと使い勝手の良さに、あなたもワカモレの虜になるはずです。