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グラタンとは?その魅力と歴史、美味しさの秘密を徹底解説

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はじめに

寒い季節はもちろん、一年を通して食卓を温かく彩る「グラタン」。こんがりとした焼き色と、とろりとしたクリーミーなソースが多くの人々を魅了する人気の洋食メニューです。この記事では、そんなグラタンの基本的な情報から、その歴史、特徴、そしてよく似た料理であるドリアとの違いまで、詳しく解説していきます。

料理の定義と概要

グラタン(Gratin)とは、フランス発祥の調理法および料理を指します。一般的には、肉や魚介類、野菜、マカロニなどの具材を、ホワイトソース(ベシャメルソース)と和え、チーズを乗せてオーブンでこんがりと焼き上げた料理のことを指します。この「表面の焼き色」こそがグラタンの最大の特徴であり、フランス語の「gratter(グラッテ:掻く、削る)」や「gratiné(グラティネ:おこげをつけた)」が語源になったとも言われています。

起源と歴史

グラタンの起源には諸説ありますが、フランス南東部のドーフィネ地方が発祥の地とする説が有力です。この地方の郷土料理「グラタン・ドフィノワ(Gratin Dauphinois)」は、スライスしたジャガイモを牛乳やクリームで煮て、チーズをかけずに焼き上げたシンプルなもので、現代の多様なグラタンの原型の一つと考えられています。

日本へは、明治時代以降に西洋料理が伝わる中で紹介されたと言われています。ホテルや洋食レストランのメニューとして登場し、次第に家庭料理としても普及していきました。特に、マカロニを使った「マカロニグラタン」は、子どもから大人まで幅広い世代に愛される定番メニューとなっています。

主要な特徴

グラタンの魅力は、その食感と風味にあります。

  • 香ばしい焼き色: オーブンで焼き上げることで生まれる表面の香ばしい焼き色は、グラタンの見た目と風味のアクセントとなります。チーズが溶けて焦げた部分や、ソースが煮詰まった部分は特に味わい深い部分です。
  • クリーミーなソース: 多くの場合、バター、小麦粉、牛乳で作るホワイトソース(ベシャメルソース)がベースとなります。この滑らかでコクのあるソースが、具材全体を優しくまとめ上げます。トマトソースやミートソースをベースにしたグラタンもあります。
  • 熱々の美味しさ: オーブンから出したての熱々の状態が最も美味しいとされる料理です。寒い日には特に、心も体も温まる一品となります。
  • 具材の多様性: マカロニ、ジャガイモ、鶏肉、エビ、ホタテ、きのこ、ほうれん草など、様々な具材との相性が良く、アレンジの幅が広いのも特徴です。

地域による違いや派生料理

グラタンは世界中で愛され、地域や家庭によって様々なバリエーションが存在します。

  • グラタン・ドフィノワ: 前述の通り、ジャガイモを使ったフランス・ドーフィネ地方の伝統的なグラタン。
  • マカロニグラタン: 日本で最もポピュラーなグラタンの一つ。マカロニの食感が楽しめます。
  • シーフードグラタン: エビ、イカ、ホタテなどの魚介類をふんだんに使ったグラタン。
  • ドリアとの違い: 日本で生まれた洋食「ドリア」は、グラタンと混同されがちですが、明確な違いがあります。ドリアは、ピラフやバターライスなどのご飯の上にソースとチーズをかけてオーブンで焼いた料理です。つまり、主食がご飯である点がグラタンとの大きな違いです。グラタンは、マカロニやジャガイモなどが主になることが多いですが、ご飯は必須ではありません。

    またフランスでは、卵黄をベースにオレンジジュースなどを加えてクリーム状にした、サバイヨン(sabayon)を、フルーツにかけて焼き上げたデザート「フルーツグラタン」なども存在します。

一般的な材料と特徴

家庭で作られる一般的なグラタンには、以下のような材料がよく使われます。

  • ソース: ホワイトソース(ベシャメルソース)が基本ですが、トマトソース、ミートソース、デミグラスソースなども使われます。
  • チーズ: ピザ用チーズ(モッツァレラ、ゴーダなど)、パルメザンチーズなどが一般的。表面の焼き色とコクを出します。
  • 主要な具材: マカロニ、ペンネなどのパスタ類、ジャガイモ、鶏肉、エビ、ベーコン、玉ねぎ、きのこ類(マッシュルーム、しめじなど)、ほうれん草、ブロッコリーなど。
  • その他: バター、小麦粉、牛乳(ソース用)、塩、こしょう、ナツメグ(風味付け)など。

これらの材料を組み合わせることで、様々な味わいのグラタンを楽しむことができます。

本来の伝統的な調理法

伝統的なグラタン作りは、まず具材を準備し、ホワイトソース(ベシャメルソース)を作るところから始まります。ベシャメルソースは、バターで小麦粉を焦がさないように炒め(ルーを作る)、温めた牛乳を少しずつ加えてダマにならないように溶きのばし、塩、こしょう、ナツメグで風味を調えます。このソースと下ごしらえした具材を和え、耐熱皿(グラタン皿)に移し、チーズをたっぷりとかけてオーブンへ。表面にこんがりと美味しそうな焼き色がつくまで、じっくりと焼き上げるのが基本です。

まとめ

グラタンは、フランスの伝統的な調理法から生まれ、世界中で愛される料理へと発展しました。その魅力は、香ばしい焼き色、クリーミーなソース、そして熱々の美味しさにあります。マカロニ、ポテト、シーフードなど、様々な具材でアレンジが楽しめるのも嬉しい点です。ぜひ、ご家庭でも様々なグラタン作りに挑戦し、その奥深い味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

さいごに

シェフレピでも「ホワイトソースから作る基本のマカロニグラタン」のレッスンを公開しております!
フランス料理の基本のひとつでもある、軽い煮込みの調理法をベースに、ベシャメルソースとマカロニを合わせ、グラタン皿に盛り付けて焼き上げます。難しいイメージのあるベシャメルソース作りも、動画で丁寧に解説します。

ぜひこの機会にチェックしてみてください!

ホワイトソースから作る基本のマカロニグラタン/枯朽 清藤洸希 (h.b.)

香ばしくカリカリに焼けた表面のチーズ、中はトロトロのベシャメルソースと食べ応えのあるマカロニ、それらをスプーンですくってひと口で頬張る。想像するだけでおなかがすいてきますね。清藤シェフが修行時代にまかないでよく作っていたというこの料理。アレンジも多彩な、基本のグラタンの作り方を、ぜひチェックしてみてください。

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