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牛かつの魅力を徹底解説:厚切りレアカツの新たな食文化

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はじめに

こんにちは。シェフレピの池田です。今回は、「牛かつ」についてお話していきたいと思います。サクッとした衣の中から現れる、美しいロゼ色の牛肉。牛かつは、とんかつとは一線を画す独特の魅力を持つ料理です。厚切りの牛肉をレアに仕上げる斬新なスタイルは、今や全国で多くの人々を魅了しています。本記事では、牛かつの特徴から調理法、各地のスタイルまで、その魅力を余すところなくお伝えします。

初めて牛かつを食べたときの衝撃は今でも忘れられません。カツレツなのに中がレア?という戸惑いは、一口食べた瞬間に感動へと変わりました。外はカリッと、中はしっとり柔らかな食感のコントラストが絶妙で、まさに和洋折衷の傑作だと感じたものです。

牛かつとは?厚切りレアカツの新定番

牛かつは、厚切りの牛肉に衣をつけて揚げた料理で、最大の特徴は中心部をレアまたはミディアムレアに仕上げることです。一般的なとんかつやビフカツとは異なり、揚げ時間を短くすることで、肉の中心部に赤みを残します。これにより、牛肉本来の旨味と柔らかさを最大限に引き出すことができるのです。

提供時には、わさびや岩塩、特製のソースなど、和風の薬味と共に供されることが多く、これも牛かつならではの特徴と言えるでしょう。薄くスライスして提供されることもあり、見た目の美しさも魅力の一つです。

牛かつ文化の広がりと発展

牛かつは、日本独自の料理として発展してきました。特に東京の新橋エリアには「新ばし 牛かつ おか田」をはじめとする有名店が集まり、牛かつ文化の中心地として知られています。一部では「発祥の店」と呼ばれる店舗もあり、この地域が牛かつ文化において重要な役割を果たしてきたことがうかがえます。

また、かつて虎ノ門で営業していた「びふかつ みその」のような先駆的な店舗も、牛かつ文化の形成に貢献したと考えられています。現在は閉店してしまいましたが、その存在は牛かつの歴史を語る上で欠かせないものでしょう。

2000年代以降、「牛かつもと村」や「牛カツ京都勝牛」といった人気チェーン店の登場により、牛かつは全国的な知名度を獲得。今では東京だけでなく、大阪、京都、福岡など全国各地で楽しむことができます。

レア仕上げが生み出す絶妙な食感

牛かつの最大の魅力は、何と言ってもその独特の食感にあります。外側のサクサクとした衣と、内側のしっとりとした赤身肉のコントラストは、他のカツ料理では味わえない特別な体験です。

揚げ時間は通常1〜2分程度と短く、高温の油で一気に衣だけを揚げることで、中の肉はレアの状態を保ちます。切り口から見える美しいロゼ色は、まるでステーキのよう。この見た目の美しさも、牛かつの大きな魅力の一つですね。

レア仕上げにすることで、牛肉本来の甘みや旨味が損なわれることなく、ダイレクトに感じられます。これは、しっかりと火を通すとんかつとは対照的な特徴と言えるでしょう。

東西で異なる牛かつスタイル

牛かつは全国に広がる中で、地域ごとに独自の進化を遂げています。東京では、シンプルで洗練された牛かつが主流です。わさびと岩塩でいただくスタイルが定番で、素材の味を活かした食べ方が好まれています。

一方、関西では、より濃厚なソースを使用したり、デミグラスソースをかけたりするスタイルも見られます。京都の「牛カツ京都勝牛」では、京都らしい上品な盛り付けと、特製のソースが人気を集めています。

九州では、甘めのソースを使用したり、からしを添えたりするなど、地域の食文化に合わせたアレンジが加えられています。このように、牛かつは各地の食文化と融合しながら、多様な発展を遂げているのです。

牛かつに使われる厳選素材

牛かつに使用される牛肉は、主にモモやランプなどの赤身部位が中心です。脂身の少ない部位を使用することで、レア仕上げでも食べやすく、さっぱりとした味わいに仕上がります。

衣には、きめ細かいパン粉が使用されることが多く、これにより繊細でサクサクとした食感が生まれます。小麦粉と卵でしっかりとコーティングすることで、短時間の揚げ調理でも衣がはがれることなく、美しい仕上がりになります。

付け合わせには、千切りキャベツが定番ですが、最近では季節の野菜を使用したサラダや、特製のコールスローを提供する店も増えています。ご飯は白米のほか、麦飯や十六穀米を選べる店も多く、健康志向の高まりを反映していますね。

プロが教える牛かつの揚げ方の極意

牛かつを美味しく仕上げるポイントは、何と言っても温度管理です。油の温度は180〜190度と高温に設定し、肉を入れたら1分から1分半程度で引き上げます。これ以上揚げると、せっかくのレア感が失われてしまいます。

肉の厚さは2〜3センチが理想的。これより薄いと火が通りすぎてしまい、厚すぎると中心部が冷たいままになってしまいます。

揚げる前に肉を常温に戻しておくことも、均一な仕上がりのための重要なポイントです。冷蔵庫から出したての肉を使うと、外は焦げているのに中は冷たい…なんて失敗も。

揚げた後は、すぐに切らずに1〜2分休ませることで、肉汁が落ち着き、切った時に肉汁が流れ出るのを防ぐことができます。プロの技を真似することで、家庭でも本格的な牛かつを楽しむことができるでしょう。

まとめ

牛かつは、日本独自の料理として発展し、今や全国で愛される存在となりました。厚切りの牛肉をレアに仕上げるという斬新な発想は、和食の繊細さと洋食の豪快さを見事に融合させた、まさに和洋折衷の傑作と言えるでしょう。

サクサクの衣とジューシーな赤身肉のハーモニー、わさびや岩塩といった和の薬味との相性の良さ、そして各地で生まれる独自のスタイル。牛かつは、日本の食文化の創造性と多様性を体現する料理として、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

さいごに

シェフレピでは、ミシュラン掲載店、枯朽の清藤シェフによる「牛カツ」のレッスンを公開しております!厚みのあるリブロース肉を使用し、休ませながらゆっくりと火を入れることにより、カツとステーキのいいとこ取りのような美味しさに仕上げます。
ぜひこの機会にチェックしてみてください!

牛カツ/枯朽 清藤洸希

カツ全般に応用できる、丁寧な火入れの方法を学びます。また、フランス料理の要素を取り入れた赤キャベツの付け合わせや、揚げ物をさっぱりと食べられる、爽やかなクリームソースの作り方も必見です。

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