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一口で虜になる、埼玉生まれの極甘イチゴ
イチゴをそのまま口に運ぶ——その瞬間に広がる濃厚な甘さに、思わず目を見開いてしまう。埼玉県生まれの「あまりん」は、そんな驚きをもたらすイチゴです。
糖度は18〜20度に達することもあり、濃厚な甘さが凝縮されています。果実の色つやは鮮やかな赤で、硬すぎず柔らかすぎない、張りのある食感も魅力です。
本記事では、あまりんというイチゴの特徴や味わいの秘密に迫ります。見た目の美しさと一口食べれば忘れられない甘さ。その魅力を、一つひとつ紐解いていきましょう。
あまりんとは:埼玉が誇るオリジナル品種
埼玉県が誇るイチゴ「あまりん」。その正体は、品種名「埼園い3号」として登録された埼玉県オリジナル品種です。県内の農園で大切に育てられたこのイチゴは、商標名として「あまりん」の名で市場に流通しています。
埼玉県にはもうひとつ、かおりんというイチゴの商標が存在します。同じ県内で異なるブランドが並び立つ構図からも、この地域のイチゴ栽培への意気込みが伝わってくるようです。
あまりんという響きには、愛らしさと親しみやすさが同居していますね。品種名の「埼園い3号」からは研究開発の真摯な姿勢が感じられる一方、商標名には生産者の温かい想いが込められているのかもしれません。埼玉県が丹精込めて送り出す、このイチゴの魅力に迫ってみましょう。
日本一のイチゴ開発ストーリー
埼玉県内の農園で、艶やかな輝きを放つ赤い実が丁寧に摘み取られていく。この「あまりん」は、埼玉県農業技術研究センターで開発された埼玉県オリジナル品種で、品種名は「埼園い3号」といいます。2017年に誕生したこのイチゴは、同じく埼玉県の「かおりん」とともに、県の農業の新たな顔として注目を集めている存在です。
実は埼玉県、かつてはイチゴ作付け全国一位を誇った歴史があるんです。1970年代、関東ではダナーなどの品種が栽培され、露地栽培が広がっていた時代。当時の埼玉県はイチゴ生産の中心地として栄華を極めていました。しかし時代の移ろいとともに、その座は他県へと移っていくことに。
長い歳月を経て、埼玉県が再びイチゴ界で存在感を示すべく動き出したのが、あまりんの開発プロジェクトでした。研究センターでの地道な品種改良の末に誕生したこのイチゴには、かつての栄光を取り戻したいという生産者たちの熱い想いが込められているのかもしれません。バスケットの中で美しく輝くあまりんを見ると、約半世紀の時を超えて受け継がれてきた埼玉県のイチゴへの情熱が、今も脈々と息づいていることを感じずにはいられません。
糖度20度の衝撃:味わいと食感の秘密
糖度18〜20度。この数字を聞いて、何を想像されるでしょうか。一般的なイチゴの糖度が10度前後であることを考えると、あまりんの甘さがいかに突出しているか、その凄さが伝わるはずです。
初めてあまりんを口にしたとき、その濃厚な甘みに思わず目を見開いてしまったことを覚えています。甘味の中に爽やかな酸味が潜んでいて、ただ甘いだけでなく「これぞいちご」という核心的な味わいが広がる。バランスの取れた味の構造に、手が止まらなくなりました。
見た目にも特徴があります。果実は鮮やかな赤色で、ツヤのある表面が光を浴びて美しく輝く。しっかりと熟してから出荷されるため、ヘタの部分まで赤く染まっているのも大きな特徴です。この「ヘタまで赤い」という点は、完熟の証として生産者のこだわりを感じさせるポイントですね。
食感もまた、このイチゴを特別にしている要素の一つです。硬すぎず、柔らかすぎない。張りのある果肉は、噛むと適度な抵抗感がありつつ、すっと崩れていく。この絶妙なバランスが、糖度の高さと相まって多層的な味わいを生み出しているのです。果実の色つやが良く、見た目の美しさも魅力ですが、その美しさは味わいの深さと一体になっていると言えるでしょう。
パティシエが惚れ込む理由
2017年に誕生した埼玉県のオリジナル品種は、プロのスイーツシーンでも確かな存在感を放っています。
秩父市立影森中学校の体育館で開かれた郷土芸能発表会。その会場で、地元の食材を活かしたワッフルが振る舞われたそうです。伝統文化の継承と地域社会への貢献を目的とした取り組みの中に、このイチゴの姿がある。単なる食材としてではなく、地域の物語を紡ぐ存在として扱われていることが伝わってきます。
夏の日、かき氷のトッピングとしてもその魅力は発揮されます。埼玉県本庄市の久米原農園が育てた「あまりん」をたっぷりと載せた削氷は、鮮やかな赤色と果実本来の甘さで訪れる人を惹きつけます。いちごの削氷という形で、その味わいは季節の風物詩としても親しまれているのです。
和銅農園を訪れると、同じ2017年に誕生した「かおりん」と並んで、パティシエたちがその可能性を見出している姿に出会います。品種開発からわずか数年で、秩父地域のスイーツ文化に欠かせない存在へと育った背景には、料理人たちの眼差しがあります。見た目の美しさだけではない。口にしたときに広がる風味と、地域との結びつき。その両方が、プロたちを惹きつける理由なのでしょう。
一口のイチゴに詰まった埼玉の情熱
糖度18〜20度に達する果実が、どのような手間を経て食卓へ届くのか。その数値だけでは測れない物語が、あまりんにはあります。埼玉県農業技術研究センターで紡がれた開発の歳月は、単なる品種改良の記録ではありません。果実の色つや、張りのある食感、そして絶対的な甘さ。これら一つひとつに、生産者たちの並々ならぬこだわりが息づいているのです。
口に運ぶと、鮮やかな赤色の記憶と共に、誰かの情熱がふとよぎる。そんなイチゴに出会えたとき、私たちは「美味しい」を超えた何かを感じ取るのかもしれません。























