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はじめに
「リオレ(Riz au lait)」というデザートをご存知でしょうか? フランス語で「リ(Riz)」は米、「オレ(au lait)」はカフェオレと同様に、ミルク入りを意味する、その名の通りお米をミルクで甘く煮込んだ、フランスでは非常にポピュラーな家庭のデザートです。日本ではお米を甘いデザートにするという発想はあまり馴染みがないかもしれませんが、フランスではヨーグルトやクレームブリュレと並んでスーパーマーケットでも定番商品として売られています。この記事では、そんなリオレの魅力について、その定義から特徴、そして基本的な作り方まで、詳しくご紹介します。
料理の定義と概要
リオレは、お米を牛乳と砂糖でゆっくりと煮込んで作る、シンプルながらも奥深い味わいのデザートです。一般的にはライスプディングの一種として分類され、フランスでは特に「リオレ」の名前で親しまれています。温かいままでも、冷たく冷やしても美味しく、家庭ごとに少しずつレシピが異なるのも特徴です。その素朴で優しい甘さは、どこか懐かしさを感じさせ、フランスの人々にとっては子供の頃から慣れ親しんだ「おふくろの味」のような存在とも言えるでしょう。
主要な特徴
リオレの最大の魅力は、その独特の食感と優しい甘さにあります。牛乳でじっくり煮込まれたお米は、芯がなくなるまで柔らかくなりながらも、一粒一粒の存在感を残しています。口に入れると、とろりとしたミルクの風味とお米の柔らかな粒感が一体となり、心地よい満足感を与えてくれます。
味わいは、使う砂糖の種類や量、バニラやシナモンなどのスパイス、加えるフルーツなどによって様々ですが、基本的には牛乳とお米由来の素朴で自然な甘さが主体です。フランスでは家庭的なデザートとして、特別な日だけでなく日常的に楽しまれています。

地域による違いや派生料理
リオレは家庭料理であるため、フランス国内でも地域や家庭によって様々なバリエーションが存在します。基本的な材料は米、牛乳、砂糖ですが、卵黄を加えてコクを出したり、バニラビーンズやシナモンスティック、レモンやオレンジの皮で香りをつけたり、レーズンなどのドライフルーツやナッツを加えたりと、アレンジは無限大です。
近年では、健康志向の高まりから、オーガニックの材料を使ったものや、牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルクを使ったヴィーガン対応、ラクトースフリーのものなども登場しています。また、ネスレやダノンといった大手食品メーカーも様々なフレーバーのリオレを商品化しており、手軽に楽しめるデザートとしての地位を確立しています。
日本では、お米が主食であるため、甘いお米のデザートに抵抗を感じる人も少なくありません。しかし、フレンチレストランのデザートメニューで見かけることも増え、テレビドラマ『グランメゾン東京』で物語の鍵となるデザートとして登場したことなどから、少しずつ認知度が高まっています。2022年には、牛乳の消費減少などを受け、生産者支援の一環としてイタリア料理人、関口幸秀シェフが期間限定レストラン「リオレに夢中」を虎ノ門にオープン。その盛況ぶりからも、リオレの人気の高さがうかがえます。
一般的な材料と特徴
リオレの基本的な材料は非常にシンプルです。
- 米: 通常、短粒種または中粒種のお米が使われます。粘り気が出て、クリーミーな食感を生み出すのに適しています。日本のお米でも美味しく作れます。
- 牛乳: リオレの風味とクリーミーさのベースとなります。濃厚な味わいが好みであれば、生クリームを少量加えることもあります。
- 砂糖: 甘みを加えるために使います。グラニュー糖が一般的ですが、ブラウンシュガーやメープルシロップなどを使うと、風味に変化が出ます。
- 香りづけ: バニラビーンズやシナモンスティック、レモンの皮などがよく使われ、リオレに豊かな香りを加えます。
これらの基本的な材料に、好みでドライフルーツ、ナッツ、フルーツソース、キャラメルソースなどを加えて楽しみます。
伝統的な調理法
伝統的なリオレの作り方は、基本的にはお米を牛乳で煮込むというシンプルなものです。
- お米を軽く洗うか、洗わずに使うかはレシピによりますが、牛乳で煮る前に水で軽く下茹でする場合もあります。これはお米のデンプン質を調整し、より滑らかな仕上がりにするためと言われています。
- 鍋に牛乳、米、砂糖を入れ、弱火にかけます。さらにバニラビーンズやシナモンスティックなどをお好みで加えます。
- 焦げ付かないように、時々かき混ぜながら、お米が柔らかくなり、全体がとろりとするまで、ゆっくりと時間をかけて煮詰めていきます。煮込み時間は米の種類や量、火加減によって異なりますが、30分から1時間程度かかることもあります。
- 好みの柔らかさになったら火を止め、粗熱を取ります。温かいままでも、冷蔵庫で冷やしても美味しくいただけます。

まとめ
リオレは、フランスの家庭で古くから愛されてきた、お米を使った伝統的なデザートです。その歴史は古く、時代と共にかたちを変えながら、今ではフランスの食卓に欠かせない存在となっています。シンプルながらも奥深い味わい、そしてアレンジの自由度の高さが魅力です。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、その優しい甘さと独特の食感は、一度試してみる価値があります。ぜひ、ご家庭で作ってみたり、レストランなどで見かけたら味わってみてはいかがでしょうか。新しいお米の楽しみ方を発見できるかもしれません。
さいごに
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