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はじめに
みなさんこんにちは、シェフレピの山本です。今回は、「カムジャタン」についてお話ししていきたいと思います。韓国料理といえばキムチやビビンバ、サムギョプサルなどが真っ先に思い浮かびますが、現地の人々に愛される鍋料理「カムジャタン」をご存知でしょうか。豚の背骨肉をじっくり煮込み、ホクホクのジャガイモと合わせた、スタミナ満点の一品です。辛さの中にも深いコクがあり、一度食べたら忘れられない味わいが特徴的です。
名前に隠された意外な真実
カムジャタンという名前を聞いて、多くの方は「カムジャ」が韓国語でジャガイモを意味することから、「ジャガイモ鍋」だと思われるかもしれません。確かに料理にはジャガイモが入っていますが、実はそれほど大量には入っていないんです。
興味深いことに、料理名の由来には別の説があります。豚の背骨の骨髄を指す言葉から来ているという説もあり、実際にこの料理の主役は豚の背骨肉なのです。韓国の食文化研究者の間でも、この名前の由来については諸説あり、まだ完全には解明されていない謎の一つとなっています。
朝鮮半島に根付いた庶民の味
カムジャタンは朝鮮半島発祥の伝統的な鍋料理として、長い歴史を持っています。もともとは労働者階級の間で親しまれていた料理で、安価な豚の背骨を使って栄養価の高い食事を作ろうとしたのが始まりだと言われています。
時代とともに、この庶民的な料理は韓国全土に広まり、今では専門店が数多く存在するほどの人気料理となりました。特に韓国では24時間営業のカムジャタン専門店も多く、深夜や早朝でも熱々の鍋を楽しむことができます。まさに国民食と呼ぶにふさわしい存在になったと言えるでしょう。
骨付き肉の旨みが決め手
カムジャタンの最大の特徴は、なんといっても豚の背骨肉を使用することです。骨の周りについた肉は、長時間煮込むことで驚くほど柔らかくなり、骨髄から出る深いコクがスープ全体に広がります。
味付けには大量の唐辛子やコチュジャン、テンジャン(韓国味噌)、醤油などを使い、辛さの中にも複雑な旨みが感じられます。そして臭み消しとして加えられるエゴマの葉が、独特の香りをプラスしてくれるんです。この絶妙なバランスこそが、カムジャタンの魅力ではないでしょうか。
地域ごとの個性豊かなアレンジ
韓国各地でカムジャタンは愛されていますが、地域によって微妙な違いがあります。ソウルでは比較的マイルドな味付けが主流ですが、南部地方に行くとより辛さが増す傾向があります。
また、専門店によっても個性があり、ある店では野菜を多めに入れたり、別の店では特製のタレを使ったりと、それぞれの工夫が見られます。一人前用のメニューとして「ピョダギヘジャング」という似た料理もありますが、こちらはジャガイモが入っていないことが多く、より骨付き肉に特化した内容になっています。
豪快な具材の組み合わせ
カムジャタンの基本的な材料は、豚の背骨肉、ジャガイモ、長ネギ、エゴマの葉です。豚の背骨は肉が少し付いている状態のものを使い、生姜やにんにくと一緒に長時間煮込みます。
ジャガイモは皮を剥いて丸ごと、または大きめに切って加えます。意外と思われるかもしれませんが、一人前あたりジャガイモは1個程度しか入っていないことが多いんです。でも、このホクホクのジャガイモが辛いスープを中和してくれる重要な役割を果たしているんです。
本場流の豪快な調理法
伝統的な調理法では、まず豚の背骨を下茹でして臭みを取り除きます。その後、新しい水で長ネギ、生姜、にんにくと一緒にじっくりと煮込みます。この工程で骨髄から旨みがしっかりと抽出されるのです。
味付けは唐辛子、コチュジャン、テンジャン、醤油、塩などで行い、最後にジャガイモとエゴマの葉を加えて仕上げます。専門店では大きな鍋で一度に大量に作ることが多く、小サイズでも2〜3人前というボリューム感も特徴的です。そして食べ終わった後のスープにご飯やキムチ、海苔を入れてゴマ油で炒め、チャーハン(ポックンパ)を作るのも定番の楽しみ方ですね。
まとめ
カムジャタンは、豚の背骨肉の深い旨みとホクホクのジャガイモ、そして韓国特有の辛さが絶妙に調和した、まさに韓国を代表する鍋料理です。
名前の由来に謎があったり、ジャガイモの量が意外と少なかったりと、知れば知るほど興味深い料理でもあります。庶民の味として始まり、今では韓国全土で愛される国民食となったカムジャタン。その豪快な見た目と奥深い味わいは、一度体験すれば忘れられない思い出になることでしょう。韓国料理の新たな魅力を発見したい方は、ぜひ一度本場のカムジャタンに挑戦してみてはいかがでしょうか。