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ネコノメ|Chat LuuME(シャルーメ)
料理上手の根底には、相手に喜んでもらいたいという気持ちがある
バレンタインデーに手作りチョコレートに初挑戦するという人もいると思います。いいお菓子作りのきっかけになりそうですよね。
絶対いいきっかけになると思います。
というのも、YouTubeチャンネル「NekonoME Cafe【ネコノメカフェ】」でお菓子作りの動画を配信したり、「Chat LuuME(シャルーメ)」でお菓子のEC販売をしていますが、根底には、相手に喜んでもらうことが好きというのがあるんです。
それはたぶん僕だけじゃなくて、多くのパティシエさんや、シェフ、料理家さんといったプロの方々も同じだと思うんです。
僕は、自分が作って渡したお菓子を食べているのを見るのは恥ずかしいので、その場を離れちゃうんですけど、やっぱり「ありがとう」とか「おいしかった」と言ってもらえるのは、今でも変わらずうれしいことです。
ネコノメさんのバレンタインデーの思い出はありますか?
小学校の頃は、意外とチョコレートをもらえる男子だったんですよ。残念ながら、バレンタインデーのチョコがきっかけで付き合うことはなかったですけど(笑)。手作りチョコをもらえたらうれしいですよね。
製菓の専門学校に通っていたときは、バレンタインデーになると生徒たちでチョコレートを競うように作っていました。作る人は、300個くらい用意したり。僕は、それをもらって食べる側で、普段、チョコレートをもらうとびっくりしちゃいますけど、バレンタインデーは別。受け取る方も受け取りやすいですよね。
ですので、普段から「お菓子作りをやってみたいなぁ」という人ならなおさらバレンタインデーは挑戦するチャンスなんじゃないかと思います。
ネコノメさんがレシピ監修した「Bean to Bar Chocolateのブラウニー」は、そんなお菓子作り初体験の方にぴったりですよね。
その通りです! なんかテレビショッピングみたいですね(笑)。でもホントその通りで、今回は、はじめてチョコレートのお菓子を作る人でも絶対に失敗しないようなレシピになっているので、興味がある人はぜひ挑戦してみてほしいです。
ブラウニーの材料がすべて届くだけでなく、出来あがったものを包んで渡せるラッピングキットも付いているので、お菓子を配るところまでお手伝いしています。
お菓子を渡して、食べて喜んでもらう体験を味わうと、お菓子作りから抜けだせなくなるんですよ。もう、中毒になるんです。バレンタインデーは、この「作って、渡す」を体験するチャンスです。ぜひお菓子作りにハマってほしいですね。
地元のソウルフード「チキン南蛮」が得意料理
ネコノメさんが、「誰かに喜んでもらいたい」っていう想いは、お菓子を作る以外でもあるんですか?
そうですね、基本的に相手に何かをしてあげることが好きです。友だちが家にきたら手料理を作りたいタイプだし、お土産とかも、何かあったら渡したいタイプ、「みんなで食べて~」って。
だれかの役に立ちたいということを考えているんだと思うんですが、そういう意味では「でしゃばり」な面もあるかもしれないですね。友だち同士でトラブったときには、「まてまて」って感じで、間に入っちゃうタイプだし。
ちなみに友だちが家に来たときに出す手料理ってどんなのですか?
「チキン南蛮」です。自分にはあまり作らないけど、誰かが来たら作ってましたね。これは、めっちゃうまくて、食べた友だちが「あれはうまい」って思い出してまで言ってくれるほど。食べたその場で言う「うまい」は、そりゃそうだと思うんですが、わざわざ後から言ってくれるのは本心でうまかったということなんだと思うんです。
自信のあるチキン南蛮も、食べているのは見たくないタイプですか?
「じゃ、食べておいて」って言って、そそくさと洗い物をしにキッチンに戻っちゃいます(笑)。
そんなに難しいことはしてないんですが、鶏肉に粉をつけて、溶いた卵にくぐらせてから揚げるのがポイントです。チキン南蛮発祥の地である宮崎県生まれの僕にとって、味付けした鶏肉に粉をつけて揚げたいわゆる「唐揚げ」を甘酢だれで絡めてタルタルソースをかけたものはチキン南蛮ではないんです。それはただの「甘酢だれであえた唐揚げのタルタルソース添え」です。
故郷から離れて、福岡県で飲食店でチキン南蛮を頼んで出てきたのが「甘酢だれであえた唐揚げのタルタルソース添え」だったので、「オレが頼んだのは違うぞ、こんなんじゃないぞ」と震えたのを今でも覚えています。
あと友だちに作って好評だったのは、ワサビ醤油をかけたエビマヨですね。学生時代に福岡でバイトしていたときのお店のレシピです。
食べてすぐに「NUTTY」を使ってレシピを作りたいと思った
お菓子の話に戻りますね(笑)。今回MinimalさんのBean to Bar チョコレートを使ったレシピを考案してくれました。Bean to Bar チョコレートを扱うのははじめてでしたか?
はい、はじめてです。もちろんBean to Barのチョコレートを自分でも買って食べて勉強はしてきたんですが、お菓子作りをするのであればクーベルチュール(製菓用チョコレート)の方が扱いやすいのではないかと考えていました。タブレットとして食べておいしいチョコレートと、お菓子で使っておいしいチョコレートは、また違うものだとも思うんです。
だけど、今回Minimal代表・山下貴嗣さんの、MinimalならではのBean to Bar チョコレートの製法やそれぞれのチョコレートの解説をお聞きしながらテイスティングをさせてもらって、めちゃめちゃうまいと感じたんです。衝撃的でした。
Minimalさんの代表的な銘柄で、ザクザクとしたカカオを粗挽きした食感の「NUTTY」と「FRUITY」「SAVORY」と、それぞれの銘柄の細挽きも食べさせてもらいました。カカオからチョコレートになるまでの行程は、ひと通り理解していたのですが、改めてカカオの品種や発酵、火入れ、加工を精密にコントロールすることで、商品になったときにこんなに違いがでるのかと、とても驚いたんです。
じつは、僕の中ではすぐに「NUTTY」を使ってジャンドゥーヤ*を作りたいと思ったんです。でも、Minimalさん的に推したい商品とか、シェフレピさん的な希望もあるかと思って「どうですか?」ってお聞きしたんですが「NUTTY、NUTTY」って心のなかでは思っていました。
そうだったんですか!すごく慎重に考えているなとは思っていたのですが、あの時点で今回のブラウニーのイメージがあったんですね。
ハイカカオのチョコレートはいくつかありますけど、カカオ分は高いけどカカオの香りはあまりしなかったり、ビターな感じが強いことがあると思うのです。だけどMinimalさんのは、それがない。砂糖は少量しか使っていないのにきちんと甘味も感じるし、カカオの香りもしっかりある。個性がはっきりしているので、何にでも合わせられると思いました。
*ジャンドゥーヤ=ジャンデュージャとも。ヘーゼルナッツ(またはアーモンド)のペーストにチョコレートを加えたペースト状のもの。「Bean to Bar Chocolateのブラウニー」では、ブラウニーの間に挟むバタークリームのアイディアで使われている。
「引き算のチョコレート」だからこそ生まれたシンプルなレシピ
実際にレシピを作っていくなかで、大変だったことはありますか?
バランスをとるのが難しかったです。Minimalの山下さんは、「引き算のチョコレート」ということをおっしゃっていましたが、扱ってみてもその通りだと思いました。
とくに粗挽きの食感が心地よいNUTTYにがっつりクリームなどの乳脂肪を入れると良さが消えてしまうので、できるだけシンプルにしようと心がけました。ジャンドゥーヤもチョコレートとバター、アーモンドペーストだけにして、できるだけ素材を足さないようにしました。
ブラウニーでは、NUTTYの細挽きを使わせてもらっています。ブラウニーも素材の味がダイレクトに出るお菓子だと思うので、素材を足しすぎないように。普段の僕のレシピよりも小麦粉やバターが少なめで、Minimalさんのチョコレートを活かそうと頑張ってみました。
今回は、シェフレピさんのご厚意で、実際に使う分量よりも少し多めにNUTTYの粗挽きと細挽きのチョコレートを届けてくださるそうなので、食べ比べをしてみてほしいです。カカオの挽き方の違いだけで、味の感じ方がまったく違ってくるので。
ブラウニーは、食感の差や味の強弱が少ないフラットなお菓子なので、間にMinimalさんのNUTTYの風味と食感を活かしたバタークリームが入るとアクセントになっていいですよね。
ありがとうございます、よかったです。
ブラウニーの間に何かを挟むこと自体はそれほど珍しいことではないのですが、シェフレピさんの商品作りでは楽しんで作っていただくのも大事だと思っているので、ブラウニーとバタークリームの2つを学べるレッスンとして楽しんで作ってもらえたらと思っています。
それと、Minimalさんの引き算のチョコレートを使わせてもらったことで、シンプルなレシピになったことで、行程もシンプルになったと思います。ですので、結果、さらにお菓子作り初心者の方でも作りやすいレシピになりました。
最後に、出来あがったブラウニーを誰かに渡すときに、こんなひと言を添えて渡すと、食べた時に良さが伝わりやすいというようなひと言を教えてください。
間に挟んでいるアーモンドのペーストと、もともとカカオ由来のナッツの風味をもっているMinimalさんのチョコレートを混ぜたクリームを注意して食べてみてください。クリームのナッティさとブラウニーの相乗効果を楽しんでみてください。ですかね!
素晴らしいレッスンを考案してくださりありがとうございました!
photos by さいだー
ネコノメ●ねこのめ
1995年、宮崎県出身、福岡の製菓専門学校卒業後、上京し都内外資系ホテルのペストリー部門に就職。25歳で店を出すことを目標に退職し、独学で菓子作りを続けながら、経営やマーケティングについて学んだ。2018年末にYoutubeチャンネルを開設し、翌年から菓子作りの動画の投稿を開始。夢だったリアル店舗の出店がコロナ禍で不透明になると、2020年から本格的に動画クリエイターの活動に力を入れはじめる。定期的に菓子作りの動画の投稿をするようになると一気にチャンネル登録者数が増え、「NekonoME Cafe【ネコノメカフェ】」は、2023年1月現在26万人を超える。2021年10月には、菓子ブランド「シャルーメ」を立ち上げオリジナル菓子をインターネットで販売している。
シェフ Twitter:https://twitter.com/NekonoMECafe
シェフ Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCLCiHQ7EbH0kVmgq6ckrIXw/
Chat LuuME Twitter:https://twitter.com/Chat_LuuME
Chat LuuME Instagram:https://www.instagram.com/chat_luume/
Minimal – Bean to Bar Chocolate – (ミニマル)
Minimal は世界のカカオ産地を訪れ良質なカカオ豆から職人が一つ一つ手仕事でチョコレートの製造をしています。「丁寧にシンプルに、最高の素材を活かし香りを最大限に引き出す」という原点に真摯に、国内外の星付きレストランやトップパティスリーで腕を磨いてきたパティシエ・ショコラティエ・職人達が切磋琢磨し、チームワークでMinimalのチョコレートやスイーツをつくります。
素材のカカオは現地で発酵・乾燥作業の研究やレクチャーを行い、カカオ農家と一緒に高品質高単価に適うフレーバーの開発を行います。プランテーションの名残があるカカオ産業のサステナブルな経済的自立を目指し、技術支援やフェアでエシカルな取引を行います。2019年は JICA の ODA 案件化調査プロジェクトでニカラグアにおいてカカオの調査を行いました。
素材を活かす“引き算”の思想と独自製法により、国際品評会で 7 年連続 73 賞を受賞。基本に忠実に、一方で伝統や手法にはとらわれない自由な発想で皆さまの生活に彩りを加え、“また食べたい!”と思っていただける「こころに遺るチョコレート」を届けることを目指しています。
Minimal – Bean to Bar Chocolate –
ホームページ・オンラインストア:https://mini-mal.tokyo
LINE:https://page.line.me/yrn4346m?openQrModal=true
Instagram:https://www.instagram.com/minimal_beantobarchocolate
Twitter:https://twitter.com/Minimal_tokyo
Facebook:https://www.facebook.com/minimalchocolate/?fref=ts
連載「料理上手になるには」は、シェフレピでレッスンを監修しているシェフたちに、味付けや調理の上手さだけではない、日々の暮らしのなかで心地よい食生活を送っている“料理上手”な人たちについて話してもらう連載企画です。
関連商品:「Bean to Bar Chocolateのブラウニー【パウンド型とラッピングキット付き】」
バレンタインデーの手作りチョコレートは、料理をはじめるきっかけになるというネコノメさん。はじめて「Minimal – Bean to Bar Chocolate -(ミニマル)」(以下、Minimal)のチョコレートを使ったレシピ開発の裏側なども聞きました。
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