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特別食事会イベントを「枯朽」 で開催しました

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はじめに

人気レストラン「枯朽」とシェフレピの共同企画で「食べて、学ぶ」をテーマとした第二回目の特別食事会を開催しました。

普段、レストラン「枯朽」では、限られた時間の中で端的に料理説明を行い、あえてわからない部分も残して楽しんでいただくスタイルをとっていると清藤シェフ(h.b.)はおっしゃっています。

「食べて、学ぶ」をテーマとし、

「なぜこの料理を発想したのか?」
「料理に使われている食材はどんなものなのか?」

などの質問を通して、調理法や発想法、未知の食材などについて深ぼっていきながら、普段「枯朽」で提供している料理を楽しんでいくという特別な食事会。

前回のイベントレポートでは、どんな食事会だったのか?や、雰囲気、流れを重点的に紹介しました。
今回のイベントレポートでは、前回と違った料理も提供いただきましたので料理にフォーカスして紹介していけたらと思います。

枯朽での食事会の内容

コース全体の流れは前回同様下記のように進んでいく。

アミューズ
前菜①
前菜②
前菜③
魚料理
スープ
肉料理
アヴァンデセール(口直しのデザート)
グランデセール(メインのデザート)
コーヒーor台湾茶 + ミニャルディーズ(茶菓子)

アミューズや肉料理など、定番で出している料理以外は前回イベントから料理内容も変えてくださったので変更になったものをしっかりと料理説明を記載していこうと思う。

コースは、清藤シェフ、相方の吉岡シェフ、2人の故郷の食材を使った小さいフィンガーフードから始まる。

前菜① 蛤(ハマグリ)

1つ目の前菜、葉山葵、花山葵、レフォール(西洋わさび)を使った、ぴりっと辛い冷前菜。

皿の底にはレフォール(西洋わさび)をしっかり効かせたパンナコッタを忍ばせ、うすいえんどうや焼いたそら豆を散らし、ほうれん草のクリアなスープ注いでいる。
中心にあるのは大ぶりの地蛤(じはま)。
蛤の上にはほうれん草のごく薄いアガーシートを被せ、茎山葵やシブレット、レモングラスのような爽やかな香りの馬告(マーガオ)を3種のアクセントとして乗せている。
蛤と3種のアクセントの間に薄いシートを挟むのはアクセント達に蛤の旨味を吸わせないため。それぞれが独立した状態で口の中に入ってくることで香りや食感を感じやすくなる。
仕上げに炭の香りを移した香ばしいオイルを数滴スープに垂らすと、焦がすように焼いたほうれん草の美味しさの、上品な部分だけを切り取ったようなスープに。

前菜② 雲白肉(ウンパイロウ)

2つ目の前菜、たっぷりの鉄観音茶(てっかんのんちゃ)と香味野菜で煮込んだ岩中豚のバラブロックを一度プレスしながら冷やし固め、棒状にカットしたらパウダー状にした鉄観音をまぶし冷蔵庫で寝かす。
鉄観音の蘭のような甘い香り、パウダーの苦味、それらを豚の脂の甘味で程よく中和している。
合わせるのは不知火(しらぬい、でこぽん)のゼスト(皮)やエシャロット、イタリアンパセリ、ケッパーなどをたっぷり加えた豚足の煮凝り(にこごり)。
フランスのシャルキュトリー、Fromage de tête(フロマージュ・ド・テット)の要領でテリーヌ型で固めたもの。

それらを薄くスライスし、鉄観音で茹でた黒米と、豚バラの茹で汁とマデラ酒をベースに作った伽羅蕗(キャラブキ)、不知火のピュレを合わせる。

横に添えるのはカラマンシーヴィネガーを絡めたハーブのサラダ。

シェフレピで清藤シェフがレシピ提供をしている「豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ」を少し思わせるような一品でした。

前菜③ ホワイトアスパラガス

3つ目の前菜は、“アルザス”と“乳酸発酵”をテーマにホワイトアスパラを2皿構成で提供する。メインの皿は生のまま8時間糠漬けにした極太ホワイトアスパラを直火で焼き、ナッティーな香りを引きだしてから日向夏やエシャロット、ノイリーをベースに作ったヴィネグレットをかけたもの。そこに合わせるのはネズの実の香りを纏った発酵春キャベツやピーマン、蕎麦の実、アーモンドなどを合わせたコンディマン。

もう一皿はアスパラの軸や皮の部分を無駄なく使いフランに。
豚足の出汁にアスパラの皮を煮出して作った濃厚なエッセンスをベースにアパレイユを作り、軸の部分から作ったシンプルなアスパラのピュレをかけ、カルダモンやネズの実などの香りを移したオイルをかける。フランの中には豚足の出汁で炊いた白インゲン豆やアスパラの角切り、塩漬けにした日向夏の皮などを忍ばせている。

実はここで使われている「発酵春キャベツ」は、シェフレピに以前、Ăn Đi (アンディ)の内藤シェフが提供してくださったレッスン「Ăn Đi風トムヤムクン」に出てくる発酵キャベツを参考にしたそうです。
発酵キャベツ作りも楽しいのでぜひトライしてみてください。

ぬか漬けにしたホワイトアスパラガスを直火で焼く
1人のお客様の質問からおすすめのラップについて語る清藤シェフ
魚料理 平目

魚料理、筍の皮に平目の身と平目のムース、もずくとグリーンペッパー、アンチョビから作った粘り気のあるペーストなどを詰め蒸し上げた料理。
卵黄とレディクション(エシャロットと白ワインを煮詰めたもの)を湯煎しながら掻き立てて作るソース・オランデーズをたっぷりナッペし、バーナーで炙って提供する。
付け合わせはコラトゥーラ(イタリアの魚醤)を塗って直火で香ばしく焼き、平目の出汁と木の芽やセルフィーユを纏わせた筍やもずくとセロリのジュリエンヌサラダ、姫皮をベースに作ったタプナード。
和を思わせる組み合わせは仕上げに醤油っぽいパーツを組み込みたくなるがあまりにも直接的すぎるので醤油っぽさを連想させるアクセントとして、五香粉風味のクルトンと焦がし玉ねぎのクランブルを振りかけている。

オランデーズソースをかけて、仕上げにバーナーで表面を炙る

魚料理の後は、枯朽で定番として提供され続けている銀の鴨を使用した、コンソメと肉料理がでてくる。
これもまた絶品なので気になる方は、前回のイベントレポートを見てみてほしい。

アヴァン・デセール 苺 トンカ豆 バジル

苺、トンカ豆、バジルを使ったアヴァン・デセール。

このデザートの主役は、薄く輪切りにした苺に隠れているクリーム。

クレーム・パティシエールにトンカ豆とバジルの風味をつけたものとマスカルポーネチーズを合わせたクリーム。

トンカ豆は、バニラや桜、杏仁のような香りが特徴的で苺とも乳製品とも相性が良い。
そこにバジルの風味を加える事で爽やかな印象に。

その下には、レンズ豆のコンポートと角切りの苺、刻んだバジルを合わせたものをおく。

苺は、薄切りと角切りで2種類の食感を出す。同じバジルでもクリームは火の入ったバジルの香りだが、非加熱のバジルを刻んで加える事で、よりみずみずしいフレッシュな香りをつける事が出来る。

アヴァンデセールとメインのデザートを考えているのは清藤シェフの相方の吉岡シェフであるが、シェフ曰く、メインの鴨肉とメインのデザートを繋ぐために口直しである必要はあるがさっぱりとしすぎないように注意しながら作っていると言っていたのが印象的だった。

デセール 金柑 雲県普洱熟茶(ウンケン プーアル ジュクチャ) カカオ

金柑とプーアール熟茶、カカオのデザート。
金柑は皮ごと食べる果実で、甘味と酸味、ほろ苦さがある。
そこに、乾燥果実のような甘い香りと、熟成感のあるプーアール熟茶、カカオを合わせる。

一番下には、ビスキュイ・オ・ショコラ・サン・ファリーヌ(小麦粉を加えない生地なので口当たりが滑らか)。
その上にカラメルのムースを絞り、フレッシュの金柑や、プーアール熟茶でコンポートにした金柑、種を抜いたところにカカオニブを詰めてカラメリゼにした金柑を並べ、一番上には、カカオの焼き菓子を置く。

ここでは2種類のオレンジのリキュールを使用。
ビスキュイにはキレのあるオレンジの香りするコアントローを、ムースには、甘く芳醇な香りのするグランマルニエを使用。(飲んでみると、味はコアントローの方が甘い)
同じオレンジのリキュールだが、違う種類のリキュールを加える事で味に複雑さを与える。

その横にプーアール熟茶をしっかりと効かせた濃厚なアイスクリームを添え、下には、小さな角切りにした金柑とオレンジ、カカオニブ、ディルをオリーブオイルで和えたサラダを置く。

最後に熟成感とまろやかな旨味のあるホワイトバルサミコのソースを垂らしてアクセントにする。

デザートの後は、台湾茶かコーヒーを選んで茶菓子と共に食べながら清藤シェフに質問を投げかかけながら会話が弾む。

最後には、捌いた後の鴨のガラと仕込み中の鴨肉を取り出して、どんな処理をしているのか、なぜフルシェット(鎖骨の部分にある骨)を取っていないのかなどかなりマニアックな内容の話を清藤シェフが語り続けるという不思議な時間となった。

イベントを終えて

今回も前回と同様、おひとり様も多く、はじめは皆さん少し緊張している様子でしたが、最後には清藤シェフを囲んで質問攻めにするなど良い雰囲気で食事会を終えることができました。
だんだんと皆さんの雰囲気も良くなり、普段シェフになかなか聞きづらいような詳細な質問ができるのはやはり良いですね。

今後もシェフレピでは特別イベントを開催していきますので、ご期待ください。
告知はTwitterやInstagramで行っておりますので、フォローしていただければいち早くイベント情報を得ることができます。
▼公式Twitter
https://twitter.com/chefrepi
▼公式instagrarm
https://instagram.com/chefrepi

ただいま7/7(金)に枯朽 食事会のご予約をお取りしております。
8名様限定となりますので気になる方はぜひご覧になってみてください。
シェフレピ有料会員様は、会員でないご友人と共に食事会に参加することも可能ですので、ぜひ食事が好きな方とも一緒にお越しください。

▼枯朽の特別食事会

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