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はじめに
こんにちは。シェフレピの池田です。今回はギリシャ風野菜のマリネ「グレック」についてお話ししていきたいと思います。フランス料理のメニューで「グレック」という言葉を見かけたことはありませんか?正式には「レギューム・ア・ラ・グレック」と呼ばれるこの料理は、野菜をオリーブオイルで炒めてから、白ワインとコリアンダーなどの香辛料を効かせたマリネ液に漬け込んだ、爽やかな冷製前菜です。ピクルスよりもまろやかで、普通のマリネよりも深い味わいを持つこの料理は、フランス料理における「ギリシャ風」の代表格として愛されています。
地中海の風を感じる「ギリシャ風」の正体
グレックという名前は、フランス語で「ギリシャ風」を意味する「à la grecque(ア・ラ・グレック)」から来ています。フランス料理において、ギリシャや地中海地方の調理法を取り入れた料理に対して使われる言葉なんですね。
この料理の特徴は、野菜を一度オリーブオイルで軽く炒めてから、白ワインやレモン汁、そしてコリアンダーシードなどの香辛料を加えたマリネ液に漬け込むこと。そして必ず冷やして供されるという点です。単なる酢漬けとは違い、オリーブオイルの豊かな風味と、コリアンダーの爽やかな香りが特徴的です。
地中海料理の知恵が生んだ保存食
グレックの調理法には、地中海沿岸地域の食文化が色濃く反映されています。温暖な気候の地中海地方では、野菜を美味しく保存する技術が発達してきました。オリーブオイルと酸味のある液体を使った保存法は、冷蔵技術がない時代の貴重な知恵だったのでしょう。
このような地中海風の調理法がフランス料理に取り入れられ、「ギリシャ風」という名前で親しまれるようになったと考えられています。現代では、保存食としてよりも、野菜の美味しさを引き出す洗練された調理法として、フランス料理の前菜の定番となっています。
オリーブオイルが生み出す独特の食感と風味
グレックの最大の特徴は、野菜を生のまま漬けるのではなく、一度オリーブオイルで炒めてから漬け込むという点にあります。この工程により、野菜の表面がコーティングされ、マリネ液が浸透しすぎるのを防ぎます。結果として、野菜本来の食感と甘みが保たれるんです。
また、コリアンダーシードの使用も重要なポイント。この香辛料は、レモンのような爽やかな香りを持ち、料理全体に地中海らしい風味を与えてくれます。白ワインの酸味と相まって、さっぱりとした後味を演出します。温かい料理が多いフランス料理の中で、冷製のグレックは箸休めとしても重宝されているんです。
フランス各地で愛される多彩なバリエーション
フランス国内でも、グレックの作り方には様々なバリエーションがあります。地中海に面した南部では、その土地で採れるハーブを加えることもあり、内陸部ではよりシンプルな味付けが好まれることもあるようです。
使用する野菜も実に多彩です。きのこ類を中心にしたものから、パプリカやズッキーニなどの夏野菜を使ったもの、セロリや人参、ペコロス(小玉ねぎ)などの根菜を使ったものまで、季節や地域によって様々なアレンジが楽しまれています。それぞれの土地の旬の野菜を使うことで、季節感のある一皿になるのも魅力ですね。
基本の材料と味わいの秘密
グレックの基本的な材料は、実にシンプルです。主役となる野菜(マッシュルーム、パプリカ、ズッキーニなど)、良質なオリーブオイル、白ワイン、レモン汁、そしてコリアンダーシード。これらの組み合わせが、絶妙なハーモニーを生み出します。
野菜は一口大に切り、オリーブオイルで軽く炒めます。この時、野菜に完全に火を通すのではなく、表面に軽く焼き色がつく程度にとどめるのがコツ。マリネ液は、白ワインにレモン汁、塩、胡椒、そしてコリアンダーシードを加えて作ります。熱いうちに野菜をマリネ液に漬け込み、冷蔵庫で一晩寝かせれば完成です。
プロが教える本格グレックの作り方
本格的なグレックを作るには、いくつかのポイントがあります。まず、オリーブオイルは必ずエクストラバージンオイルを使うこと。風味が全く違います。野菜を炒める際は、強火で手早く行い、野菜の水分を飛ばしすぎないよう注意しましょう。
マリネ液を作る際は、白ワインを一度沸騰させてアルコール分を飛ばすのがポイント。これにより、まろやかな酸味になります。コリアンダーシードは、軽く潰してから使うと香りが立ちます。でも潰しすぎると苦味が出るので、ほどほどに。最後に、必ず一晩以上漬け込むこと。時間をかけることで、味がしっかりと馴染みます。
保存は冷蔵庫で約1週間可能です。むしろ2〜3日経った方が味が馴染んで美味しくなるんですよ。まさに作り置きにぴったりの料理と言えるでしょう。
まとめ
グレックは、フランス料理における「ギリシャ風」の代表的な野菜料理として、その爽やかな味わいと美しい見た目で多くの人を魅了してきました。オリーブオイルで炒めた野菜を、白ワインとコリアンダーの香るマリネ液に漬け込むという、シンプルながら奥深い調理法は、野菜本来の美味しさを最大限に引き出します。
前菜として、またはメイン料理の付け合わせとして、さらにはワインのお供として、様々なシーンで活躍するグレック。ピクルスよりもまろやかで、普通のマリネよりも深い味わいを持つこの料理は、一度作れば冷蔵庫で1週間ほど保存できる便利な一品でもあります。ぜひ旬の野菜を使って、あなただけのグレックを作ってみてはいかがでしょうか。地中海の風を感じる、素敵な食卓になることでしょう。
さいごに
シェフレピでは、「ミキュイ(半生)に火を入れたサーモン 根菜のギリシャ風」のレッスンを公開しております!
一品料理としてももちろん美味しいグレックですが、メイン料理の付け合わせにもぴったりです。ぜひこの機会にチェックしてみてください!