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ベシャメルソースとは?その歴史から特徴、基本の作り方を徹底解説!

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はじめに

こんにちは。シェフレピの池田です。今回は、フランス料理の代表的なソースの一つ、「ベシャメルソース」についてお話していきたいと思います。
ベシャメルソース、またの名をホワイトソース。この言葉を聞いただけで、グラタンやドリア、クリームコロッケといった、心温まる料理の数々が思い浮かぶのではないでしょうか。フランス料理における「マザーソース」の一つとして、数多くの派生ソースを生み出し、世界中の食卓を豊かに彩ってきました。この記事では、そんなベシャメルソースの奥深い世界へ皆様をご案内します。その歴史から基本的な作り方、さらには家庭で楽しむためのアレンジまで、余すところなくご紹介しましょう。

私がベシャメルソースで真っ先に思い浮かぶのは、浅草の老舗洋食店「ヨシカミ」のグラタンでしょうか。その滑らかさと深いコクは、それまで抱いていたホワイトソースのイメージを覆す衝撃的な体験で、今でも鮮明に覚えています。まさに、料理の格を上げる魔法のソースだと感じました。

ベシャメルソースって何?その定義と概要

ベシャメルソースとは、バターと小麦粉を炒めて作る「ルー」を牛乳で溶きのばして作る、白くクリーミーなソースのことです。フランス料理の基本となる5つのマザーソース(他にエスパニョールソース、ヴルーテソース、トマトソース、オランデーズソースがあります)の一つに数えられ、その汎用性の高さから様々な料理に応用されています。

そのシンプルさゆえに、素材の質や作り手の技術が味を大きく左右する、奥深いソースでもあるのです。まさに、料理人の腕の見せ所と言えるでしょう。

ベシャメルソース、その華麗なる歴史を紐解く

ベシャメルソースの起源には諸説ありますが、有力なのは17世紀フランス、ルイ14世の宮廷に仕えたルイ・ド・ベシャメイユ侯爵にちなんで名付けられたという説です。彼が考案した、あるいは彼に敬意を表して当時の宮廷シェフ、フランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌが名付けたとも言われています。ラ・ヴァレンヌが1651年に出版した料理書『フランス料理人(Le Cuisinier Français)』には、このソースに関する記述が見られ、これが文献上の初出とされています。

一方で、イタリアのカトリーヌ・ド・メディシスがフランス王家に嫁いだ際に、トスカーナ地方のソースが伝わったという説も存在します。どちらの説が正しいにせよ、ベシャメルソースが宮廷料理として洗練され、発展してきたことは間違いありません。まさに、歴史のロマンを感じさせるソースですね。

ベシャメルソースを際立たせる「3つの顔」

ベシャメルソースの魅力は、何と言ってもその滑らかな舌触りクリーミーなコク、そして他の食材を引き立てる包容力にあると言えるでしょう。

まず、丁寧に作られたベシャメルソースは、まるでシルクのようになめらかです。この食感は、料理全体の印象を格段に上品なものへと昇華させます。次に、バターと牛乳が織りなす豊かなコク。これが料理に深みと満足感を与えてくれます。そして最後に、他の食材の風味を邪魔することなく、むしろその魅力を最大限に引き出す懐の深さ。これが、ベシャメルソースが多くの料理に愛される理由ではないでしょうか。

世界に広がるベシャメルソースの仲間たち

ベシャメルソースは、それ自体が完成されたソースでありながら、様々な食材を加えることで多彩な派生ソースへと姿を変えます。これぞマザーソースたる所以ですね。

代表的なものとしては、チーズを加えたモルネーソース、トマトピューレを加えたオーロラソース、エビやカニなどの甲殻類を加えたナンテュアソース、玉ねぎのみじん切りをバターで炒めて加えたスービーズソースなどがあります。これらのソースは、グラタンや魚料理、肉料理など、それぞれの特性を活かした料理に使われ、食卓を豊かに彩っています。日本で人気のグラタンも、このベシャメルソースなくしては語れません。

ベシャメルソースを構成する黄金トリオ

ベシャメルソースの基本的な材料は、驚くほどシンプルです。

  • 小麦粉:ソースにとろみをつける役割を担います。薄力粉が一般的です。
  • バター:風味とコクの源。無塩バターが望ましいですが、有塩バターを使う場合は塩加減を調整しましょう。
  • 牛乳:ソースのベースとなり、クリーミーさを生み出します。濃厚な味わいが好みであれば、乳脂肪分の高いものを選ぶと良いでしょう。

これらの材料に、塩、胡椒、ナツメグといった香辛料が加わることで、ベシャメルソースの風味は一層引き立ちます。特にナツメグは、牛乳の臭みを和らげ、甘くスパイシーな香りを添えるため、少量加えるだけでプロのような仕上がりになりますよ。

家庭で再現!伝統的ベシャメルソースの作り方

ここでは、ご家庭でも挑戦しやすい、基本的なベシャメルソースの作り方をご紹介します。

  1. ルーを作る:鍋にバターを熱し、弱火で溶かします。焦がさないように注意しながら小麦粉を加え、絶えずかき混ぜながら、粉っぽさがなくなるまで1〜2分ほど炒めます。この時、ルーを焦がしてしまうとソース全体が台無しになるので、火加減には細心の注意を払いましょう。じわっと、ルーが一体化してくるのを感じてください。
  2. 牛乳を加える:温めた牛乳を少しずつルーに加えていきます。最初は少量ずつ加え、その都度泡立て器で手早く混ぜ合わせ、ダマにならないようにします。牛乳を一度に加えると、温度が急激に下がり、ダマの原因になりやすいのです。
  3. 煮詰める:全ての牛乳を加え終えたら、中火にして絶えずかき混ぜながら煮詰めます。とろみがつき、好みの濃度になったら火から下ろします。焦げ付きやすいので、鍋底からしっかりと混ぜることがポイントです。
  4. 仕上げ:塩、胡椒で味を調え、お好みでナツメグを少量加えます。これで、基本のベシャメルソースの完成です。

いかがでしたでしょうか?ポイントは、焦らず丁寧に、そして愛情を込めて作ること。これが一番の秘訣かもしれませんね。

まとめ

ベシャメルソースは、そのシンプルな材料構成からは想像もつかないほど、奥深く、そして魅力的なソースです。フランス料理の伝統を受け継ぎながら、今もなお世界中で愛され続けているのは、その普遍的な美味しさと、どんな食材とも調和する柔軟性にあるのでしょう。

この記事を通して、ベシャメルソースの新たな一面を発見していただけたなら幸いです。ぜひご家庭でも、この素晴らしいソース作りに挑戦してみてください。きっと、いつもの料理がワンランクアップすること間違いなしです。

さいごに

シェフレピでは、ベシャメルソースを使用した「ホワイトソースから作る基本のマカロニグラタン」、「思い出のパスタグラタン」2種のレッスンを公開しております!
それぞれのシェフのこだわりのレシピを食べ比べてみるのもおすすめです。
ぜひこの機会にチェックしてみてください!

思い出のパスタグラタン/Chef Ropia(シェフロピア)

シェフロピアさんが初めて勤めたお店で人気だったという思い出のメニューを初レシピ化!
ナポリタンにグラタンで使用するベシャメルソース(ホワイトソース)とチーズをかけて焼き上げます。
エビのうま味と香りの引き出し方やベシャメルソースの作り方など、料理の基本がギッシリ詰まったレッスンです。

ホワイトソースから作る基本のマカロニグラタン/枯朽 清藤洸希 (h.b.)

香ばしくカリカリに焼けた表面のチーズ、中はトロトロのベシャメルソースと食べ応えのあるマカロニ、それらをスプーンですくってひと口で頬張る。想像するだけでおなかがすいてきますね。清藤シェフが修行時代にまかないでよく作っていたというこの料理。アレンジも多彩な、基本のグラタンの作り方を、ぜひチェックしてみてください。

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