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牛リブロースだけでなく付け合わせの赤キャベツとの相性も考慮し「牛カツ」に合わせたワインは?

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

ブルゴーニュ的要素をもつエレガントなオーストリアの赤ワイン

牛カツ」というメニュー名からすると一見シンプルに思えますが、材料リストとレシピにしっかりと目を通していくと、ワインペアリングを考える上で、想像以上に気をつけるべき点が多いことがわかってきます。

とはいえ、最も注力しなければならないのはやはりこの料理の中心である「牛カツ」です。この時点である程度のイメージは浮かびましたが、まずは実際に作ってみることにしました。

牛肉に相性が良いということはもちろん、それを包み込む衣との相性、そして付け合わせのメインになる赤キャベツのローストの色調と酸味、さらにソースの清涼感と酸味にもポイントを置き、まずはカツレツで有名な産地をイメージ。そしてまず頭に浮かんだのがイタリアのロンバルディア州と、中欧のオーストリアでした。

#1 牛肉の火入れと衣との相性

赤身で鉄分的な要素を感じる牛リブロース肉がメインになるため、タイプはまず赤ワインでいくことを決めました。揚げてから休ませ、その後再び揚げて休ませる、この火入れ法によってゆっくりと火が入り、中心部はレアな状態でなめらかに仕上がっていることを考え、樽のニュアンスは強くなく、きめの細かいタンニンをもつワインを連想。その中でカツレツを食べる文化を持つ国、エリアを考えていきます。

#2 赤キャベツの色素と赤ワインヴィネガーの酸味

付け合わせの赤キャベツの存在も大きいです。仕込みの段階で赤ワインと赤ワインヴィネガーで煮込むことにより、ワインの風味と酸味が溶け込み、焦げないようにローストされた赤キャベツの色調と味わい。牛カツとの相性を前提に、双方をとらえて中心に位置するワインを模索していきます。

#3 マスタードとエシャロットの風味、白ワインヴィネガーの酸味

ソースは白ワインヴィネガーとマスタード、エシャロットを使用し、グリーンペッパーやセルフィーユ等も用いたさわやかなタイプ。ですがh.b.シェフもおっしゃっているように、あくまでも料理のメインは牛カツであることを前提にしたうえで、このソースにも同調するワインに絞っていきます。

ワインペアリングの提案

田邊さんが実際に作った「牛カツ」。

上記の3つのポイントを全て踏まえて出した結論は、「牛のカツレツを食べる文化を持つエリア、牛リブロース肉の火入れと味わいに合う品種個性。赤キャベツを食すエリアであり、その色調、味わいと相乗するキャラクター。マスタードとエシャロットというブルゴーニュ的要素も感じるソースにも相性の良いワイン」です。

これらの条件を全て満たすものとして私がおすすめしたいのが、オーストリアのテルメンレギオン地区を代表する生産者の一人が造るエレガントな赤ワイン「ヨハネスホーフ・ライニッシュ ピノ・ノワール*¹」。このエリアは、気候や土壌がブルゴーニュに似ていることから、オーストリアのコート・ドール*²とも呼ばれています。

ヨハネスホーフ・ライニッシュ ピノ・ノワール
Johanneshof Reinisch / Pinot Noir
生産者 ヨハネスホーフ・ライニッシュ Johanneshof Reinisch
生産者のサイトはこちら ▶https://www.instagram.com/johanneshof_reinisch/
購入はこちら ▶https://item.rakuten.co.jp/veritas/kbjrpv18/

*¹ピノ・ノワール:フランスのブルゴーニュ地方原産の赤ワイン用品種。限られた地域でしか栽培が難しい一方で、その土地の個性であるテロワールを表現するのに長けています。赤い果実の香りとなめらかなテクスチャーをもつワインを生む。基本的に単一品種で造られますが、シャンパーニュ地方ではシャルドネ、ムニエとブレンドして高品質のスパークリングワインが生み出されています。

*²コート・ドール:「黄金の丘陵地」という意味で、フランス ブルゴーニュ地方のディジョンから南に50~60kmに及ぶ産地の事を指す。この名前は、秋のブドウ収穫後に色づいたブドウの樹々で美しい黄金色になる畑の様子に由来しています。ブルゴーニュ地方の中でも特に素晴らしいワインを産出する地区として名高く、主に白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールが造られます。北側はコート・ド・ニュイと呼ばれ、多くの上質の赤ワインが産出され、南側はコート・ド・ボーヌと呼ばれ、多くの上質の白ワインが産出されています。

牛カツ
h.b.シェフ

衣をつけて揚げる牛カツは、表面を押して中の火の入りを確認することができないため難易度がやや高いといえますす。しかし高温の油で短い時間で揚げて、休ませながら予熱で火を入れる方法は、豚フィレ肉の火入れの復習。これまでのレッスンで学んだことを思い出しながら五感を使って作る、集大成にふさわしいレシピです。

連載
「料理がさらにおいしくなるワインペアリング~話したくなるペアリングのポイント」
田邉公一/ワインディレクター
シェフレピのメニュー1品に対して合うワインの提案を具体的な商品案内を含めて紹介します。記事内では、料理から導き出せるペアリングの3つのポイントをもとに、田邉さんがワインを提案。「料理と合う理由」を知ることで、実際に料理と一緒に飲んだときの感度が数段あがるはずです。簡潔にポイントがまとまっているからこそ、食卓を囲む人とともにそのポイントを話しながら楽しむことも可能。食事とワインによってさらに会話が進む。そんな豊かな食卓を、ペアリングを通して提案していきます。

Koichi Tanabe
ワインディレクター。ザ・リッツ・カールトン東京開業時よりソムリエを務め、在職中、フランス パリの二つ星レストラン「サンドランス」で研修。その後、フランスへの短期留学を経験し、フランス各地のワイナリーを訪問。レコール・デュ・ヴァン専任講師を経て、2012年 レストラン「L’AS」のオープンと同時に同店のシェフ・ソムリエに就任。

現在は、「タイソンズ アンド カンパニー」「ロワン」「ヘルマナス714」「麻布とさか」「マイアム ワイン」等のレストランやワインショップ、サイト、イベントのワイン、飲料の監修を手掛ける。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師兼ワイン・SAKEディレクター。第6回キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト優勝。

2022年11月公開の映画「シグナチャー」にソムリエ役として出演予定。2022年5月に、シェフレピのワインアドバイザーに就任した。

【資格】
日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL
WSET Level3 Advanced Certificate
フランス語検定準2級

【経歴】
2005年 第6回 ロワールワインソムリエコンクール ファイナリスト
2007年 第6回 キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト 優勝
2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール クォーターファイナリスト
2019年 SAKE DIPLOMAコンクール 全国セミファイナリスト

田邉さんSNS
Instagram▶︎https://instagram.com/koichi_wine
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