🏠 » シェフレピマガジン » ワインペアリング » 初めてペアリングした斬新な料理スタイルの「豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ」に合わせたワインは?

初めてペアリングした斬新な料理スタイルの「豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ」に合わせたワインは?

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

独特の植物的香りと微かな樽のニュアンスをもつスペインの白ワイン

これまでにペアリングしたことのない料理のスタイルで、最終的にどんな答えに行き着くのか、自分自身の結論の行き先に興味を持ちながら考えを進めていきました。料理の仕込みをした時に一つの結論があったのですが、実際にお皿に盛り付け、実食をした瞬間にもう一つの結論が頭に思い浮かび、最終的にそちらを最後の答えとしました。

メインとなる豚肉をあくまでも中心に据えつつ、辣油に使われている唐辛子、スターアニス、シナモンのフレーヴァー、そして付け合わせとなるハーブと青ネギのサラダとのバランスを意識。

豚肉と唐辛子、ハーブ、それぞれの要素と調和するブドウ品種、タイプを考え、全ての食材との親和性を考慮し、ヨーロッパの南のエリア、その中でも南西フランス、スペインに注目しました。

#1 豚肉の旨味とテクスチャー

まずは主素材となる豚肉の味わいと相性が良いことが前提となる。そこでまず思い浮かべたのが訪問経験のある南西フランスのワイン、そしてスペインです。

#2 唐辛子とチリパウダーの辛み

その中でも辣油でゆっくりと火入されたことを考慮しつつ、唐辛子とチリパウダーの辛みの要素にもマッチするものとして、ロゼもしくは果実の甘味を感じる白ワインを連想しました。

#3 スターアニス、ハーブのニュアンス

豚肉に感じるスターアニスのフレーヴァー、青ネギとハーブサラにもマッチすることが重要なポイントとなると考え、それらの風味にマッチするグリーンの要素をもつブドウ品種、そしてその品種が栽培されているエリアを考慮して考えました。

ワインペアリングの提案

田邊さんが実際に作った「豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ」。

豚肉と辣油を中心に考えた際、南西フランスのバスクに近いエリアで造られるロゼワインを一旦はイメージしたものの、実食の際にハーブのサラダが予想以上に存在感を放っていることに気づき、白ワインへと舵を切ります。

豚肉との相性、アニスと生姜のニュアンス、辣油の辛み、ハーブのサラダ、これら全てに調和するワインとして選んだのが、スペインの中でも白ワインで有名な産地「ルエダ」の「マルケス・デ・リスカル ブランコ レゼルヴァ リムーザン」です。ブドウ品種は「ヴェルデホ」。独特の植物的フレーヴァーを有し、ほんのりと樽のニュアンスを感じるまろやかさとさわやかさを合わせもつワインです。

マルケス・デ・リスカル ブランコ レゼルヴァ リムーザン
Marques de Riscal Blanco Reserva Limousin
生産者 マルケス・デ・リスカル Marques de Riscal
生産者のサイトはこちら ▶https://www.sapporobeer.jp/product/wine/K258/
購入はこちら ▶https://item.rakuten.co.jp/watashoweb/0009-52841/

*¹ヴェルデホ:スペインを代表する白ワイン用品種の一つ。カスティーリャ・イ・レオン州のD.O.ルエダを中心に栽培されている。一般的に、柑橘系のフルーツやハーブ、森のような香りに、豊富な果実味を感じるワインが造られる。

豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ/h.b.シェフ

前回の豚フィレ肉の「繊細な火入れ」から一転、豚肩ロース肉は、自家製の辣油の中でボコボコと煮込み、あえて肉の細胞を壊すように火を入れていきます。火が入り過ぎないギリギリを目指すのではなく、行き過ぎた火入れを選んだのは、肉に味をしみ込ませて辣油の香りも入れたいから。火入れの“正解”は目指す料理によって変わるのです。

連載
「料理がさらにおいしくなるワインペアリング~話したくなるペアリングのポイント」
田邉公一/ワインディレクター
シェフレピのメニュー1品に対して合うワインの提案を具体的な商品案内を含めて紹介します。記事内では、料理から導き出せるペアリングの3つのポイントをもとに、田邉さんがワインを提案。「料理と合う理由」を知ることで、実際に料理と一緒に飲んだときの感度が数段あがるはずです。簡潔にポイントがまとまっているからこそ、食卓を囲む人とともにそのポイントを話しながら楽しむことも可能。食事とワインによってさらに会話が進む。そんな豊かな食卓を、ペアリングを通して提案していきます。

Koichi Tanabe
ワインディレクター。ザ・リッツ・カールトン東京開業時よりソムリエを務め、在職中、フランス パリの二つ星レストラン「サンドランス」で研修。その後、フランスへの短期留学を経験し、フランス各地のワイナリーを訪問。レコール・デュ・ヴァン専任講師を経て、2012年 レストラン「L’AS」のオープンと同時に同店のシェフ・ソムリエに就任。

現在は、「タイソンズ アンド カンパニー」「ロワン」「ヘルマナス714」「麻布とさか」「マイアム ワイン」等のレストランやワインショップ、サイト、イベントのワイン、飲料の監修を手掛ける。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師兼ワイン・SAKEディレクター。第6回キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト優勝。

2022年11月公開の映画「シグナチャー」にソムリエ役として出演予定。2022年5月に、シェフレピのワインアドバイザーに就任した。

【資格】
日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL
WSET Level3 Advanced Certificate
フランス語検定準2級

【経歴】
2005年 第6回 ロワールワインソムリエコンクール ファイナリスト
2007年 第6回 キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト 優勝
2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール クォーターファイナリスト
2019年 SAKE DIPLOMAコンクール 全国セミファイナリスト

田邉さんSNS
Instagram▶︎https://instagram.com/koichi_wine
Twitter▶︎https://twitter.com/tanabe_duvin
note▶︎https://note.com/koichitanabe

🏠 » シェフレピマガジン » ワインペアリング » 初めてペアリングした斬新な料理スタイルの「豚肩ロース肉の辣油煮 ハーブと青ネギのサラダ」に合わせたワインは?