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カニや野菜を香ばしくしっかりと炒めブランデーで風味づけされたバスク料理「ドノスティア風 カニのグラタン」に合わせたワインは?

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

黒ブドウ由来のスモーキーさと程よい苦味のスペインのロゼ泡

ドノスティア風 カニのグラタン 」のメニューの名前にある「カニのグラタン」を見た瞬間にまず浮かんできたのは白ワインとのペアリング。ところがレシピと動画を拝見していくと、その考え方を根本的に変える必要があることに気がつきました。

今回のドノスティア風のグラタンは、日本で一般的に考えられているグランタンのイメージとは全く異なります。バスク料理についての見識を深めつつ、この料理の核となる部分をとらえることに徹しました。

大きなポイントとなるのは「ドノスティア風」であること。清水和博シェフの解説にもあるとおり、こちらは、バスク地方のサン・セバスティアンを意味しています。ベシャメルソースを使わずに黒みを帯びるほど炒めきった食材を使用するスタイル。この独特のスタイルに共鳴するのはやはりその土地に近いエリアのワインだと考えました。

真っ先に思い浮かぶバスクの有名なワイン「チャコリ」ももちろん良いのですが、日本ではまだそこまで馴染みのあるワインではないと考え、チャコリに近いスタイルで、同じ方向性にありながら日本でも手に入りやすいワインを探していきます。

#1 凝縮したカニの旨味

料理名と盛り付けられたお皿を見てもわかるとおり、この料理の主役はあくまでもカニ。カニの甲羅を器にし、お皿には海岸の砂のように塩が添えられています。そして香りと味わいにもカニのもつ要素が存分に感じられる。合わせるワインとして、海の要素を感じ、カニの凝縮した旨味に同調できるアイテムをまずイメージしました。

#2 黒くなるまで炒めた野菜の風味

ベシャメルソースを使わずに黒みを帯びるほど炒めた野菜を使用する独特のスタイルがもう一つの大きなポイントとなります。磯のニュアンスとフレッシュさがありながら、やや深みのあるコクとスモーキーさを持ち合わせていることが必要と考え、黒ブドウから造られていてそれらの要素を感じるワインであることを条件に加えて考えていきます。

#3 トマトの酸味とバターのコクとのバランス

最後のポイントとして、たっぷりのトマトを使用していることに着眼し、その色素と酸味、連想するエリアを考えます。実際に食べてみると、トマト由来の酸味とバターのコクの調和を感じる。食材の色素感と酸味、旨味、コク。それらとうまくバランスが取れていて、フレーヴァーに一体感が感じられるワインをイメージします。

ワインペアリングの提案

田邊さんが実際に作った「ドノスティア風 カニのグラタン」。

以上3つのポイントを全てふまえた上で私がおすすめしたいのが、スペインのロゼスパークリングワイン「マス・シャロット ロザート レセルバ」です。

こちらはピノ・ノワール*を使用し、2年以上の熟成を経てリリースされる華やかさとフレッシュさと共に熟成由来の複雑性と旨味を併せ持つワイン。香りや味わいには海の要素も感じられ、しっかりと炒めてブランデーで風味づけされたカニや野菜の香ばしさに黒ブドウ由来のスモーキーさと程よい苦味がマッチし、トマトの風味と酸味、バターのコクにも同調する個性を持っています。

ぜひお料理と合わせてお楽しみください。

マス・シャロット ロザート レゼルヴァ
Mas Xarot Rosat Reserva
生産者 マス・シャロット Mas Xarot
生産者のサイトはこちら ▶https://www.masxarot.com/
購入はこちら ▶https://item.rakuten.co.jp/likaman/425554/

*ピノ・ノワール:主に赤ワイン用に栽培されるヨーロッパブドウ品種。原産地はフランスのブルゴーニュ地方で、名称の由来はフランス語のマツ (pin) と黒 (noir) とされ、名称に「マツ」が含まれるのは、このブドウの果房が密着粒で松かさのような形状をしていることを示しています。現在世界各地のピノ・ノワールは赤ワインに用いられているほか、シャンパーニュやイタリアのフランチャコルタ、イングランド等の白のスパークリングワインにも使用されています。

連載「料理がさらにおいしくなるワインペアリング~話したくなるペアリングのポイント」
田邉公一/ワインディレクター
シェフレピのメニュー1品に対して合うワインの提案を具体的な商品案内を含めて紹介します。記事内では、料理から導き出せるペアリングの3つのポイントをもとに、田邉さんがワインを提案。「料理と合う理由」を知ることで、実際に料理と一緒に飲んだときの感度が数段あがるはずです。簡潔にポイントがまとまっているからこそ、食卓を囲む人とともにそのポイントを話しながら楽しむことも可能。食事とワインによってさらに会話が進む。そんな豊かな食卓を、ペアリングを通して提案していきます。

ドノスティアは、バスク地方のなかでもとくに食通が憧れる街、サン・セバスティアン(サン・セバスチャンとも)を意味するバスク語です。ベシャメルソースを使わないカニのグラタンは、サン・セバスティアンの定番の料理で、「え、ここまで黒くするの?」と戸惑うほど炒めきったタマネギや長ネギ、トマトが、主役のカニを支えるおいしさのポイントです。

Koichi Tanabe
ワインディレクター。ザ・リッツ・カールトン東京開業時よりソムリエを務め、在職中、フランス パリの二つ星レストラン「サンドランス」で研修。その後、フランスへの短期留学を経験し、フランス各地のワイナリーを訪問。レコール・デュ・ヴァン専任講師を経て、2012年 レストラン「L’AS」のオープンと同時に同店のシェフ・ソムリエに就任。

現在は、「タイソンズ アンド カンパニー」「ロワン」「ヘルマナス714」「麻布とさか」「マイアム ワイン」等のレストランやワインショップ、サイト、イベントのワイン、飲料の監修を手掛ける。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師兼ワイン・SAKEディレクター。第6回キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト優勝。

2022年11月公開の映画「シグナチャー」にソムリエ役として出演予定。2022年5月に、シェフレピのワインアドバイザーに就任した。

【資格】
日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA
日本ソムリエ協会認定 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL
WSET Level3 Advanced Certificate
フランス語検定準2級

【経歴】
2005年 第6回 ロワールワインソムリエコンクール ファイナリスト
2007年 第6回 キュヴェ・ルイーズポメリーソムリエコンテスト 優勝
2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール クォーターファイナリスト
2019年 SAKE DIPLOMAコンクール 全国セミファイナリスト

田邉さんSNS
Instagram▶︎https://instagram.com/koichi_wine
Twitter▶︎https://twitter.com/tanabe_duvin
note▶︎https://note.com/koichitanabe

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